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新空母の必要性は、アドミラル・クズネツォフが地中海航行とシリアでの作戦参加のあとに長期間の修繕と近代化に入ったことで発生した。作業は今年9月に開始。2020年末に完了し、21年夏には海軍に復帰する予定だ。改修と近代化の費用は600億ルーブル(約1028億円)。
北方艦隊の旗艦としてアドミラル・クズネツォフに代わり得る新たな空母の必要性はこのように、十分に明らかだ。
ラフマノフ氏は空母の艦級も造船所も挙げなかった。新たな空母はどんなものになり得るか?
ロシア将来航空母艦として最も頻繁に名指されるのは、プロジェクト23000「シトルム」。サンクトペテルブルクにあるクルィロフ国立科学研究所が開発を進めている。2015年には「シトルム」の模型が国際軍事技術フォーラム「アルミヤ2015」で発表された。その後、同艦の造船計画は何度も言及された。だがラフマノフ氏が「シトルム」を意味していたとは考えづらい。
つまり、念頭に置いていたのは明らかに違う空母だ。あり得る可能性としては、まずプロジェクト「1143.7型重航空巡洋艦」が挙げられる。このウリヤノフスク級原子力空母は1988年11月、ソ連海軍の旗艦で4隻の空母からなる艦級の1番艦として計画された。だが未完に終わり、1992年にはスクラップにされた。
ウリヤノフスク級原子力空母の満載排水量は7万9700トンで、搭載機は70機。つまり、実現していれば、アドミラル・クズネツォフより大型でより良い装備をしていた。ウリヤノフスク級原子力空母は、全てのソ連空母を手がけたネフスキー計画設計局が設計した。ウリヤノフスク級原子力空母は他のソ連空母同様、ニコライ造船工場で作られていた。この造船所はソ連崩壊後の現在、ウクライナに残った。だがクリミアにある造船所の中に、ケルチに位置する「ザリフ」造船所がある。この造船所には、ウリヤノフスク級原子力空母を造船可能な大型の乾ドックがある。
このように、ロシアは実際、近い将来より大型でより改良された重空母の造船に着手する可能性もある。10〜15年後には、海軍のフラッグシップ艦としてアドミラル・クズネツォフに代わる空母が登場する可能性は十分にある。