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8年前、ニージィー・ノヴゴロドの墓地では墓石の肖像写真がスプレー缶で汚されるという忌まわしい事件が連続して起こった。捜査を行っていた警察の眼にとまったのは、郷土史研究家のアナトーリー・モスクヴィンという人物。モスクヴィンは地元に伝わる埋葬、宗教行事を研究し、地方雑誌などに投稿していた。家宅捜査の結果、モスクヴィンのアパートとガレージから発見されたのは墓で使用されたスプレー缶にとどまらなかった。なんとミイラ化した子どもの遺体およそ30体が出てきたのだ。遺体の主の年齢はすべて3歳から12歳の女児だった。
逮捕されたモスクヴィンは警察の尋問に犯行を自白。モスクヴィンはどうしても娘が欲しかったが、少ない給与では孤児をもらい受けることも許可されなかった。思いあぐねた挙句、自分のために死んだ他人の娘を蘇らせようと決意。蘇生のためにモスクヴィンの選んだ方法はドルイド教徒さながらだった。毎夜、子どもの葬られている墓地を訪ね、墓石の傍らで眠った。モスクヴィンは「死者とのつながりを感じ、死体を掘り起こして家に持ち帰った。罪を犯していることはわかっていたので、作業は深夜に行っていた」と打ち明けている。
モスクヴィンはニージィー・ノヴゴロド第2精神病院で長期にわたって療養してきたが、先ごろ、医師団から治療は成功し、症状の緩和が見られているため、これ以上、入院する必要はなく、外来で経過を観察するだけで十分との診断が下された。「人形作家」が自宅に戻るかもしれないという事態にニージィー・ノヴゴロドの市民は心底驚いた、こうした世論を市の人権全権代表が代表し、モスクヴィンを市民生活に戻すのではなく、特別な精神神経症用隔離施設に収容するほうが本人にとっても市民にとっても人道的な解決方法ではないかと提案した。
モスクヴィンの今後の運命はこれから司法の場で決められることになった。裁判では司法精神鑑定の結果が明らかにされる。