日露円卓会議「小さな故郷」開催:モスクワの有名な猫劇場の創設者、日本への愛を語る

11月29日、モスクワ市内の「民族の家」で、ロシアにおける日本年の一環で、「ロシアおよび日本の民族意識における小さな故郷の意義」をテーマにした円卓会議が開かれ、日本文化に造詣の深い人々やロシアを代表する東洋・日本学者らが参加した。
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イベントの発案者は、東洋歴史学者のナタリア・エロフェーエワ氏。日本への正教会伝道に生涯を捧げたニコライ・カサートキン大主教を業績を研究し称えるプロジェクトのリーダーを務めている。

意外なゲストだったのが、モスクワで知らない人はいない「ククラチョフ猫劇場」の創設者、ユーリー・ククラチョフ氏だ。ククラチョフ氏の劇場をNHKが紹介したことで知名度が上がり、ククラチョフ氏は日本へ招待された。

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ククラチョフ氏「日本は、他のみんなが忘れてしまった、尊厳、良心といったものが残っている国であり、最も高潔な国です。日本で正教会を訪れたとき、日本語で祈祷文が唱えられているのがわかり、感動しました」と日本への印象を語った。

スヴェシニコフ記念ロシア国立アカデミー合唱団のエフゲーニー・ヴォルコフ芸術監督は、日露和親条約締結の地・静岡県下田にある玉泉寺を訪れた。そこには帰国を果たせなかったロシア水兵三人の墓がある。

ヴォルコフ氏「お墓は非常によく手入れされており、私たち合唱団はお墓の前で歌いました。お坊さんが、これで安らかに眠れますね、と言ってくれて、私たちは涙を流しました。アジア人は、我々ヨーロッパ人と違って、歌は生きていると考えています。聞き手としての日本人は、非常に趣味のよい人たちで美学を理解しています」

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またヴォルコフ氏は、ロシアの民族音楽が日本で普及したのは、元シベリア抑留者で音楽家の北川剛氏の功績が大きいと指摘した。

日本側からはモスクワ・ジャパンクラブの岡田邦生事務局長が、日露戦争の最中に島根県江津市で遭難したロシアのバルティック艦隊「イルティッシュ号」の乗組員265人を、地元住民が救助したというエピソードを紹介した。

戦時中にもかかわらず日本人が敵国兵を救助したという話はロシアで全く知られていなかったため、参加者は熱心に聴き入っていた。救助されたロシア兵たちは、その後捕虜となり、本国に帰ることができた。この話は今年、地元有志の手によって絵本になった。岡田氏は「イルティッシュ号乗組員の子孫を探したい。日本学者の皆さんの力をお借りしたい」と協力を呼びかけた。

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