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GPSは米国と日本を始めとする同盟国の装備システム、兵器、部隊に非常に深く統合されている。各隊員がナビゲーション機器を所有しているほどだ。火砲やミサイルの使用、海軍の運用は今や、GPSなしには不可能に近い。GPS衛星が撃墜されるか信号が妨害された場合、米軍や同盟国軍は正常な運用が不可能になる。さらに、アフガニスタンやシリアで起きたように、GPS信号は敵に傍受され、諜報データ収集に用いられている。
「みちびき」は昨年11月1日から4機体制で本格的に稼働している。4機は静止軌道で日本、インドネシア、オーストラリアあたりの上空を常に移動している。茨城県つくば市に運用センターがあり、さらに追跡センターが数個存在する。「みちびき」は政府との契約に基づき、NEC傘下の準天頂衛星システムサービス株式会社が開発・運用している。
現在、「みちびき」は緯度・経度・標高の3点でGPSの誤差を修正し、高精度な位置情報を提供する。だが自衛隊が関心を持っているのは、GPSが戦争開始で使用できなくなった場合でさえ、「みちびき」が少なくとも太平洋西部ではGPSと置換可能であることだ。防衛省は、2021年度には護衛艦に受信機を配備し、運用を本格化する方針だ。
そうでなければ、「みちびき」の本格運用は急ピッチで進められただろう。位置情報システムは今、部隊と兵器の管理における最重要要素だ。これなしには飛行も航行も射撃もできない。
2024年度には「みちびき」を7機体制にする計画もある。衛星追加は位置情報の正確さと信頼性を高める。脅威が大きければ、新たな衛星はスケジュールを予め定めずに打ち上げられていただろう。
2021年の本格運用開始は、そのあとに緊張の度が大幅に高まり、衝突が起きる可能性に備えて日本が準備を進めていることを示す。衝突は近い将来、宇宙空間でも展開しかねない。これは衛星を使用不可にできる諸国との衝突だ。
他方では、「みちびき」の位置する軌道は最良の方法では黄海、東シナ海、南シナ海の海域をカバーする。この海域は緊張の度が高まる可能性が最も高い。そしてそもそも、「みちびき」は東インドとハワイ諸島の間の箇所を覆っている。
このように、海自は10年以内に新たな戦場である宇宙で起きかねない有事に備えている。