麻薬撲滅へ向け、日本の援助でアフガニスタンと中央アジアの捜査官に研修

20日、モスクワ郊外のドモジェドヴォ市にある全ロシア内務省職員技能向上研修施設で、アフガニスタンや中央アジアの麻薬捜査官・警察職員等を対象にした研修プログラムの閉講式が行なわれた。この事業は、日本政府から国連薬物・犯罪事務所(UNODC)への資金拠出を通じ、日露協力の一環として2012年から実施されているもので、通算で約200名が受講した。
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今回の研修は5日から20日まで行われた。現地の専門家による講義・実習のほか、日本の厚生労働省からも職員が講師として派遣され、最新の麻薬鑑定方法など、日本のノウハウを伝授した。

アフガニスタンではアヘンの原料となるケシが大量に栽培されており、アヘン生産量は世界一。モルヒネ工場やヘロイン工場が乱立し、それらの麻薬は中央アジアやロシアを通じて世界中に流れている。テロリストらは麻薬売買で稼いだ資金で武器を購入している。

アフガニスタンの麻薬捜査官で、研修に参加したナザリ・アフマドゥラ氏によると、アフガニスタンでは2018年、前年に比べて積極的な麻薬撲滅作戦が行なわれた。捜査当局は3540件のオペレーションを実行し、5人の大規模な密輸業者と、69人の公務員を含む4083人を逮捕。結果、49万トン以上の麻薬、2 万5千以上の錠剤、602台の麻薬輸送車を押収した。しかしこれは、氷山の一角にすぎないという。

アフガニスタンの麻薬捜査官ナザリ・アフマドゥラ氏

アフマドゥラ氏は「麻薬撲滅に向けて戦っていますが、人材も足りず、我々の国だけでは対処しきれません。麻薬とテロリズムはアフガニスタン経済を破壊しました」と、厳しい実情を話した。

閉講式に参加した在ロシア日本国大使館の石川亘参事官は、「麻薬対策やテロリズムなどの『非伝統的脅威』への対応は、安全保障分野における日露協力の重要分野です。本件研修の参加者が研修で学んだことを母国で活かすことで、アフガニスタンや中央アジア諸国の麻薬対策能力が向上し、地域の安定に寄与することを期待しています」と話している。

受講者に修了証を授与する石川亘参事官
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