ゴーン被告 弁明のチャンスはあるか?

東京地裁は保釈保証金を支払ったルノー・日産・三菱アライアンスのカルロス・ゴーン被告で3か月半にわたる勾留から解いた。保釈請求は前にも東京地裁に出されていたものの、却下されていた。今回の東京地裁の決定でゴーン被告の無実を証明するチャンスは高まったことになるだろうか?
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ゴーン被告は金融商品取引法違反で起訴されているが、被告自身は自分は日産による「策略か、陰謀か、裏切り」の犠牲となったと主張している。

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モスクワ国際関係大学の教授で日本の専門家のドミトリー・ストレリツォフ氏はゴーン氏がかつて日産を倒産寸前から救った人物であることと、この一件は全く矛盾しているとして、次のような見解を表している。

「ゴーン被告の罪状はまだ証明されていない。一方で彼が日産の発展に寄与した功績は疑いようもない。ゴーン氏は日産のリストラをものの見事にやってのけた。ゴーン氏の発展メソッドは当時、倒産の危機にあった日産が生き延びるために残された唯一の方法だったのだ。ゴーン氏の刑事犯罪という現象を私は、ゴーン氏の専門的なメソッドが日本に共通してある企業経営のイメージと往々にして合っていないことによるものとみている。彼は日産のマネージメントに国際的なアプローチを持ち込んだが、それは効率を数値で表すことが何よりも先んじるというものだった。日本の企業経営が重んじる倫理では効率は重要であるものの、常にそれが主導するとは限らない。

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また日本側は現時点では、ルノーの保有する日産株に比べ、日産の保有するルノー株が少ないことを不服としているし、これがためにルノー・日産・三菱アライアンスの共同戦略を開発する上で日産の立場は弱まった。

この他にもおそらく日産社内にいるアンチ・ゴーン派はゴーン氏の権威的なマネージメントに不満を抱いていると思う。」

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ストレリツォフ氏「ゴーン被告の件では、日本の治安維持体系は世界のマスコミでのあまりにも大きな反響を考えると複雑な立場に立たされている。ゴーン被告には日本の司法体系に精通する腕利きの弁護士らがついている。つまり一方で日本の司法体系は完全なる独立を保ち、被告の地位がどんなに高かろうと、それをえこひいきすることなく、非常に効果的に機能している(元首相でありながら、世間を騒がすスキャンダルを起こした田中角栄の裁判例がそれを証明している)。だが別の見方をすれば、日本の司法体系は世界の民主主義的傾向とはどこか矛盾している。例えば有罪が確定しない状態での長期勾留。日本では保釈金による解放請求は99%却下されるのが通例だ。

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これを乗り越え、ゴーン被告の弁護団は、すぐにというわけにはいかなかったが、保釈にこぎつけた。これはおそらくこのケースにおいて日本の治安維持体系の一挙一動が大きな注視にさらされているからだと思う。

ゴーン被告が法で定めた通りの巨額の保釈金を支払ったとする説もある。現時点ではこれが日本の法律、国際法にどれだけ即したものであるかは言い難い。シナリオの中でも最も予見しやすいパターンは容疑の一部が取り下げられ、最短期間の拘留となるというものだ。とはいえ、世界の絶対的なトップマネージャーとして誇ってきたキャリアはもう終焉を迎えてしまったと思う。」

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