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日本でピロシキと言えば揚げパンのイメージだが、本場ロシアでは焼きピロシキが主流だ。「ソユーズはこだて焼きピロシキ」加盟店は、北海道産の食材を中心に、様々な焼きピロシキを製造販売している。訪れたロシア人から「ロシアのピロシキより美味しい」という声が出ているほどだ。
ハリストス正教会もでき、1861年にはニコライ・カサートキン司祭が来日。政府がまだキリスト教布教を認めていなかった中、彼は函館で日本について一生懸命学び、日本人の弟子たちを獲得していった。
ニコライ司祭が来日前に読んでいたのが、1818年にロシアで出版されたワシリー・ゴローニンの「日本幽囚記」だ。ディアナ号艦長として千島列島に測量に来たゴローニンは、函館で2年以上捕囚生活を送るが、高田屋嘉兵衛の尽力によって解放される。この手記は、ヨーロッパが日本について知る大きなきっかけとなった。
「ソユーズはこだて焼きピロシキ」の代表、北見伸子さん(まるたま小屋オーナー)は、ピロシキ博開催の動機について「『日本幽囚記』の中には、日本人が作ってくれるピロシキが美味しくて楽しみにしていた、というゴローニンの記述もあります。でも、函館とロシアの関係は、地元の人にも意外と知られていません。ただ食べるだけでなく、函館で開催することにはどんな意味があるのか、楽しく学べる機会を作りたかった」と話している。
ロシアの昼食にはスープが欠かせない。ピロシキに合わせてロシアの代表的なスープ「ボルシチ」や、かつてロシア病院で出されていたレシピを再現したスープがふるまわれた。オリジナルレシピコンテストでは、「塩ラーメンピロシキ」や鹿肉を使ったピロシキなど、函館ならではのユニークなピロシキ9種類の商品化が決定。新ピロシキは、5月に期間限定で市内のデパートで販売される。今後、ご当地グルメとして人気が高まりそうだ。
大盛況に終わったピロシキ博を振り返り、北見さんは「函館在住のロシア人の皆さんもイベントに関わってくれて安心でした。これが国際交流につながり、函館らしい発展ができれば良いですし、ピロシキを楽しみに世界中から函館に人が来てくれればおもしろいなと思います。ゆくゆくはロシアやウクライナ、アメリカなどのピロシキ専門店からも情報を集め、また博覧会ができれば」と話している。