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背の低い長鼻のゴーゴリは自らの容姿を恥ずかしがっていた。だが芸術肌の彼は、どんなキャラクターにも一瞬で化けることができた。笑い話で友人を楽しませることに誰よりも長けていたゴーゴリは一方で、神秘的な前兆を心から信じ、生き埋めを心底恐れていた。睡眠中に死体と間違われないよう、常に座って寝ていた。矛盾から作られたようなゴーゴリは、作家としての才能と日常生活における珍妙さであらゆる人を驚かせていた。
ゴーゴリは文学の全ジャンルで見事な成果を残した。完全な神秘主義的作品や民話を題材にしたロマンスから舌で殺すほどの風刺まで、古代ロシアの英雄を称える作品から小さく平凡な人間の悲劇まで。ゴーゴリはどこでも誠実で説得力があった。
ゴーゴリの遺作となったのは、彼が物語詩に位置づけた『死せる魂』だ。ロシア生活の大規模な百科事典になる構想だった。現存するのは第1部のみで、第2部は消失した。故意か偶然か、自ら暖炉に投げ込んだという説もあれば、隠されたという説もある。突然死により、ゴーゴリは構想通りに作品を完成できなかった。死もまた謎に満ちている。専門家は今も、健康体だった42歳のゴーゴリが寝床で急死した理由について議論を交わしている。ロシア初のスリラー『ヴィイ』を書いたのがゴーゴリだったのは不思議ではない。『ヴィイ』をベースに、この110年ですでに6本の映画が作られた。「ロシアの声(現スプートニク)」の和田達朗がパーソナリティを務めたラジオドラマ『ヴィイ』をお聴き下さい。