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カンジダ・アウリスについて、初めて世界的に知られるようになったのは2009年。最初は、高齢の日本人女性の耳から発見された。当時は病原性が低いと考えられ、この女性患者の生命も比較的容易に救うことができた。しかし、この真菌に感染して昨年5月に米ニューヨークの病院に入院した高齢の米国人男性については、医師らが命を救うことはできなかった。集中治療が行われたにもかかわらず、男性は90日後に亡くなった。だが、患者の死去とともにカンジダ・アウリスが病室内から消滅することはなかった。この頑強な微生物を除去するため、男性が滞在していた病室内の床と天井のタイルの一部を取り除くということさえ必要になった。
最近の5年間で、カンジダ・アウリスの感染はベネズエラ、スペイン、英国、パキスタン、インド、南アフリカ共和国などでそれぞれ複数例が記録されている。その中で最も大きな被害を受けているのは米国で、同国では587件の感染例が記録されている。
英政府による資金助成を受けたある研究によると、カンジダ・アウリスのような耐性菌に対する有効な医薬品が間もなく発見されなければ、2050年にはそのような耐性菌による感染症全体で、世界で1千万人が死亡する可能性があるという。この数字は、同じく2050年にがんで死亡すると予測されている人数よりも200万人多い。