「jam」のSABU監督「タルコフスキーの国に来られて嬉しい」モスクワ国際映画祭開幕

18日、第41回モスクワ国際映画祭が開幕した。日本から参加する7作品中、唯一「主要コンペティション部門」にノミネートされた「jam」の報道関係者向け上映会が行なわれた。「jam」のSABU監督はロシアを初めて訪れ、記者団の質問に答えた。
この記事をSputnikで読む

スプートニク日本

「jam」は昨年末に一般公開され、「劇団EXILE」のメンバーが総出演しているアクションコメディとして日本で人気を博した。脚本もSABU監督自らが手がけており、最近の「原作ありき」の映画制作とは一線を画している。

もともとミュージシャンを目指し、俳優から監督に転向したSABU監督。役者時代にSABUという名のヤクザ役を演じたことがきっかけで、それを芸名にした。「SABU監督は映画界のヤクザなのか?」という質問に対し、監督は「今までにない映画を作ってきているつもりなので、ある意味、そうかもしれません。映画の常識を壊すのが好きで、常識を壊し新しい形を作るのが自分の脚本の書き方であり、映画の作り方です」と答えた。

映画の中では、青柳翔が演じる、場末の演歌歌手・横山田ヒロシが、熱心すぎるファンの悪だくみによって、監禁されてしまう。そこでヒロシは彼女のためだけに曲を作ことを強制される。

熟年の女性たちが演歌歌手に夢中になる姿は、ロシア人にかなりのインパクトを与えたようで、会場からは「日本における歌手とファンの関係は本当にあんなに熱狂的なのか、それともフィクションか」という質問が出た。

モスクワ国際映画祭18日から開幕、日本映画「jam」など7作品上映
SABU監督「自分のおかれている環境、心境と音楽がマッチし、歌詞が心に響いてくる、音楽に救われた、前向きになれた、という話をよく聞きます。それはすごいことだと思います。すると、このミュージシャンは、今の自分の気持ちを、なんでこんなにわかってくれているんだろう、という感覚になることがあります。それで、これは自分のためだけに書いてくれた曲じゃないか、という錯覚に陥って、おかしくなっていくわけです。」

また、この映画の中で、世界共通の普遍的な価値観や認識を見せようとしたのか、それとも唯一のものを見せようとしたのか、という問いに対してSABU監督は「もちろん色々な影響は受けていて、ドストエフスキーも大好きですし、今回、タルコフスキーの国に来ることができたのは、すごく嬉しい。人間の持っている滑稽さというのは世界共通」と話した。

「jam」では、SABU監督が作詞を手がけた横山田ヒロシの歌が、劇中で重要な役割を果たしている。ロシア人記者らも、横山田ヒロシがいつもコンサートの冒頭で歌う「こんにちは ありがとう」のメロディをすっかり気に入り、日本語がわからなくてもフレーズを口ずさみ、やがて会場で合唱が起きた。見る人や着眼点によって、コメディとも、シリアスな人間模様とも捉えられるこの作品、審査員やロシアの観客はどう評価するだろうか。

コメント