フィギュア特集

「ピンクのメドベージェワ? あれは彼女のチョイスじゃないでしょう」

フィギュアスケートの選手が纏う美しい衣装。コスチュームは今やプログラムに劣らぬほどの注目を集め、喧々諤々のディスカッションを呼んでいる。先週もロシアのエフゲニア・メドベージェワが、ショッキングピンクのラテックス素材で作られた露出度の高い新たなコスチュームでリンクに出ると、激しい大論争が巻き起こった。「スポーツエクスプレス」紙は有名なフィギュアスケートのコスチュームデザイナーに取材し、どこまでがクリエイティブなアプローチによる奇抜さでどこからが下品になるのか、またなぜ今、フィギュア選手にとって正しいコスチュームを選ぶことが、複雑な要素をこなすことと劣らず大事なのかを探った。
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スプートニクは、ミハイル・コリャダー、アンドレイ・ラズキン、スタニスラワ・コンスタンチノワなど、有名なフィギュア選手のコスチュームデザインを担当してきたマリヤ・エフスチグネーエワ氏へのインタビューをご紹介。

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エフスチグネーエワ氏の外国のクライアントリストにはカロリーナ・コストナーも名を連ねている。

Q: 現在、フィギュアスケートのデザイナー業界では何がトレンドなのでしょうか? 露出度の高さ、セクシーにシフトしていますか?

A: たしかに選手が脱ぎ始めているということはありますね。そもそもコスチュームというのはセクシーであるべきものなのです。一線というのはですね、こういうものです。もし頭の中でその女性を脱がせたいなら、コスチュームは美しく、見ていて気持ちのいいものにすべきなんです。逆にちょっとだけ隠すというのはやりすぎ。あまりよくありません。

だいたい競技規則では露出させてはいけないことになっている。たしか体の50%は覆われていなければなりません。

つまりこれでうまく調整が効いて、全部露出するというのはできない仕組みになっているんです。

Q: エリザベータ・トゥクタミシェワはこの意味では今、先端を行っていますね。

「ピンクのメドベージェワ? あれは彼女のチョイスじゃないでしょう」

A:  彼女はね、あれがブラじゃなければすべてオッケーだったと思います。

つまり、コスチュームとして制作されたものであったら問題なかったんですが、そうではなく、普通のブラだった。やっぱり普通のブラは競技に使ったらだめです。何らかの方法でコスチュームに含まれる要素だったら、まぁよくて、美的にもきれいだったでしょうが。でも見方を変えればあれはショーでしたからね。成果だって出ましたよ。彼女は話題をさらったんですから。もしそういう目的を持っているんだったら、まさにあのようにするのが正しかったんじゃないですかね。

Q:デザイナーとして働いてこられて、この間、実際モードは変わりましたか?

A: 素材の変化が激しかったですね。ストレッチ素材が多く表れて、普通のお店でも買えるようになりました。こういう生地は身体に密着するんです。昔は、身体全体をなんとか覆おうとしていました。ちょっとでもミスをすると、コスチュームが脱げ落ちてしまうのでね。ところが今はどんどん露出部分を広げていますね。

Q:メドベージェワが先日、韓国で全身ピンクでリンクに出ましたが、あれはどう思われますか?

「ピンクのメドベージェワ? あれは彼女のチョイスじゃないでしょう」

A:あれは彼女自身のチョイスじゃないんじゃないでしょうか。何を着て出るか、彼女に100%の決定権があるとは思いません。たぶん、あれはオーガナイザー側が渡したんですよ。

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(…)アジアでたとえば今、この色が流行しているというのがあるなら、選手は「これを着て」と言われたものを着ます。たぶん「ピンクを着て」って言われたのでしょう。メドベージェワがあれを一生の間着て滑るということは考えにくいですね。

Q:つまり、あれを着て試合にでるのは、あなただったら勧めないということですか?

A: ピンクが試合に適しているとも、彼女に合ってるとも思いません。そもそもこれは子どもっぽい色です。ショーを目的とするなら、もしかしたら悪くはないかもしれません。ライトを当てればきれいですからね。でも白いアイスの上で、試合でこれが映えることはないです。

Q:  ラテックスを着てララ・クロフトに扮したザギトワはあまりに露出度が高いという声まで聞かれますが。

A:私は好きですけどね。

「ピンクのメドベージェワ? あれは彼女のチョイスじゃないでしょう」

1990年代にエロティックなショーのために似たようなコスチュームを作りましたよ。これがエロチシズムの美だとしたら、どうしていけないんですか? 私はこれを美しいと思います。ただし万人にうけるというのは無理ですね。いいね、という人もいれば、こんなのだめ、という人もいる。ということはつまり、コスチュームは成功したっていうことなんです。

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