イランの日本専門家が見た安倍首相訪問「奇跡は誰も期待していない。イラン人は日本を尊敬し、90年にわたる友情を評価」

日本のトップとして41年ぶりにイランを訪問していた安倍首相は、14日に帰国した。核開発・経済制裁をめぐるイランと米国の関係悪化を受け、両国の緊張緩和を目的にしていた安倍首相。滞在中の13日にはイラン沖ホルムズ海峡近くで日本の海運会社が運航する船が攻撃を受けるという不測の事態も起きた。当のイランでは、安倍首相来訪はどう受け止められたのか?スプートニクはテヘラン戦略研究センターのアナリストでシャヒード・ベヘシュティー大学科学評議会会員のモーセン・シャリアティニア氏に話を聞いた。シャリアティニア氏はイランの対中国・対日本関係を専門に研究している。
この記事をSputnikで読む

スプートニク日本

シャリアティニア氏は、日本にとってのイラン訪問の意義について次のように話している。

ロシアは安倍首相のイラン訪問がイランと米国の相互理解の進展につながると期待=外務省
シャリアティニア氏「トランプ米大統領に頼まれたからというのはあるが、それだけではなくて、日本の外交力でイランと米国の緊張レベルを下げるというのは、日本自身にとっても大事なことだ。ペルシャ湾からの原油に依存する日本にとっては、ペルシャ湾付近で起こるどんな抗争もマイナスだからだ。それに、外交交渉における成功は、日本に、更にイランとの関係を発展させようという衝動を与えるかもしれない。なぜならイランと日本の関係は、イランと中国、またイランとインドといった組み合わせに比べると、やはり遅れているからだ。イランでも米国でも、安倍氏が奇跡を起こして、イランと米国の関係をとても良くしてくれる、とは思っていない。日本の『成功』というのは、緊張緩和という意味だ。」

中国やインドと比べれば国家としての協力レベルは及ばないものの、イラン人が日本に抱く感情は決して悪くはない。

シャリアティニア氏「イラン人は安倍氏の訪問を、大事な一歩として捉えている。イランでは日本は深く尊敬されているし、90年間にわたる日本との友情を評価している。日本はイランに対してイランの主権にかかわるような干渉をしてこなかった。だからイラン人は、日本の好意と、日本がもつ米国との良好な関係が、イランと米国の緊張度合いを下げてくれるかもしれないと期待している。繰り返して言うが、イランでは誰も安倍氏に奇跡など期待していない。40年間にもわたるイランと米国の緊張関係が近いうちに解消されるとは誰も思っていない。それでも我々は、この訪問が、戦争、武力紛争を事前に阻止してくれるという希望をもっている。」

関連ニュース

コメント