極地の空を飛んだ3人のロシア人 北極上空を経由した初の露米間無着陸飛行から82年

1937年6月18日、ワレリー・チカロフ、ゲオルギー・バイドゥコフ、アレクサンドル・ベリャコフの3人のソ連人飛行士が搭乗するANT25飛行機が、モスクワ近郊の飛行場を離陸し北極に向けて針路をとった。それから63時間16分後、9130キロの距離を飛行したANT25は、米ワシントン州バンクーバーに着陸した。
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チカロフ飛行士指揮下のソ連人乗組員らは、飛行距離の記録を破ることはできなかったが、異常に低い気温と困難な気象条件の下での北極の氷の上空における長時間飛行が可能であることを示した。

この飛行中、ANT25は極端な環境にさらされていた。翼や水平安定板、アンテナの表面には氷層が形成され、エンジンの冷却システム内の水でさえ凍結した。飛行士らは、自分たちの魔法瓶に入れられていた熱い紅茶をそこにかけなければならなくなった。エンジンはいつでも故障する可能性があった。操縦室のガラスを覆った氷については、側面の窓を開けてナイフで削り取った。強力な向かい風が原因で燃料が想定よりも多く消費され、バンクーバーに着陸するころには燃料タンクがほとんど空になっていた。

米国では当時のフランクリン・ルーズベルト大統領が、ホワイトハウスの大統領執務室で飛行士らと面会し、直接祝辞を述べた。

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