めったにない機会
シグリーさんは金日成(キム・イルソン)大学で北朝鮮文学を専攻している。修士号獲得のため修士論文を書いたが、そのテーマは「若者の恋愛に関する北朝鮮ノベルの特徴研究」である。シグリーさんは「私は恋愛をテーマにした北朝鮮の現代小説を研究しています。どういう風に若い男女が恋に落ちるのか、お互い相手のどこに惹かれるのか、どういう価値観が二人にとって共通なのか、どんな試練が二人を襲うのか、といったようなことです」と話していた。
シグリーさん「北朝鮮と北朝鮮の文化に興味を持ったので、大学の講義はとても役に立ちます。北朝鮮の視点から、歴史と文化を学ぶことができるのはめったにない機会です。私の先生たちはとても優しくて、先生たちとは、学習の対象となるものについて話しますし、そういったおしゃべりが、その他のテーマにも及ぶことはよくあります。先生たちのうち一人はトルストイの『戦争と平和』を読んでいますし、また別の先生はプーシキンを読んでいます。」
充実した食生活のラインナップ
北朝鮮と言えば、常に食糧が足りていないというニュースを目にすることが多いが、シグリーさんや外国から来た彼の友人は、平壌において食文化が急速に発達してきていることに驚いた。シグリーさんによれば、平壌での食の選択肢は多様で、中国の様々な地方の料理や日本料理が楽しめるほか、西側諸国の料理が食べられるレストランも豊富にある。
シグリーさんは陽気に言葉を続ける。「私たちの寮の近くには、なかなか良いスパゲティとコロッケが食べられる店がありますし、ピザやマカロニは、イタリア料理店にも朝鮮料理店にもあります。ハンバーガーやホットドッグ、フライドチキンが食べられるファーストフードもあります。調理分野ではかなり創造性に溢れていて、人気レストランはいつも混んでいます。」
多くの西側諸国がそうであるように、オーストラリアは平壌に在外公館を有していないため、スイス大使館経由という限られた外交手段の中で情報を収集するしかない。
思い出されるのは、国際社会を震撼させた、北朝鮮で収監された米国人大学生オットー・ ワームビアさんの事件だ。 当時22歳で、観光旅行で北朝鮮を訪れたワームビアさんは、平壌のホテルで宣伝ポスターを盗もうとした罪で2016年1月2日 に逮捕され、15年の労働教化刑が言い渡された。北朝鮮当局は、ポスターを盗もうとした試みを「敵対行為」とみなした。 彼は北朝鮮で約15か月収監され、獄中で拷問を受けた とみられる。2017年6月13日に昏睡状態で米国に帰国したが、6日後の6月19日、 意識を回復することなく、死亡した。
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