小説、伝記を題材に人物の深層心理を抉り出し、芸術の極みに昇華させる鬼才エイフマンの舞台は世界中の熱い信奉者を驚かせ、限りない絶賛を浴びてきた。日本の観客は1990年代にエイフマンの稀有な舞台を見る機会に恵まれた。今までに日本で演じられたのはシェイクスピアの『十二夜』、ドストエフスキーの『白痴』、ブルガーコフの小説『巨匠とマルガリータ』を題材にした舞台、『チャイコフスキー』、『ドン・キホーテ~あるいは狂人のファンタジー』、『カラマーゾフ』。この舞台を目にし、なんとか再度、エイフマンを味わいたいと待望していた日本人の観客は今回、1998年11月以来、実に21年ぶりの邂逅となる。
今回、日本の観客が目にするのは次の2作。
「アンナ・カレーニナ」
「アンナ・カレーニナ」は文豪トルストイの長編小説。恋を貫いたがゆえに社交界の厳しい批判にさらされるアンナ。エイフマンは観客の心を舞台に引きずり込み、何がこの貴婦人を駆り立て、すべてを犠牲にしてまで、精神の破滅へ突き進んでいかせたのかを問う。
「ロダン~魂を捧げた幻想」
「ロダン~魂を捧げた幻想」には彫刻家ロダンの人生が創造活動と彼をとりまく女性たちとの関係を織り交ぜて描かれている。舞台では「うずくまる女」「考える人」「カレーの市民」など6作品を製作する様子が表現される。
エイフマン・バレエ団の広報部は、日本公演を前に表したエイフマンの声明を次のように公表している。
「日本のダンスを愛する方々は事実上、私たちの芸術を新たに発見することになるでしょう。私たちが日本に連れて行くバレエはロシアの、そして世界の文化を代表するものです。バレエ団の過去数十年の創造の集大成となる今回のレパートリーが、観客の心を一人残らずとらえるようなものになってくれたらと思います。」
日本公演は13日、大津の 「アンナ・カレーニナ」を皮切りにスタートする。
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