シェレメチェヴォ空港は、首都モスクワの三大空港のうち旅客数が最も多く、アエロフロート・ロシア航空の拠点空港でもある。昨年行なわれた、国内空港の愛称として偉人の名前をつける「ロシアの偉大な名前」プロジェクトでは、ロシア人が敬愛する詩人、アレクサンドル・プーシキンがシェレメチェヴォの愛称として選ばれた。モスクワ訪問はもちろん、ヨーロッパや中央アジアへの乗り継ぎ空港としても人気が高い。
AEONコーポレーションは、空港の再開発や建設、不動産、輸送など多角的なビジネスを手がけており、シェレメチェヴォ空港南側の70ヘクタールにも及ぶ広大な敷地を取得。オークラが運営することになる新ホテルも、この空港周辺再開発プロジェクトの一部だ。AEONコーポレーションの創立者、ロマン・トロツェンコ会長は現代ロシアで最も成功した実業家の一人として知られており、若かりし日にはモスクワ国立大学付属アジア・アフリカ大学で日本経済を専攻していた。
ロシア進出のきっかけは、AEONコーポレーション側からの提案だった。運営を引き受けた決め手についてホテルオークラの広報担当者は「空港周辺ではコンベンションセンターをはじめ、AEONによって大規模開発が進められると聞いています。新ホテルは、空港を中心とした都市開発の主要施設となるため、ビジネスや観光、ヨーロッパへのトランジットなど、様々な利用目的のお客様が見込め、よりオークラという名前を知ってもらえる機会が増えるでしょう」と話す。
現在でも空港周辺にはラディソンやノヴォテルなどのホテルがあるが、オークラは日本の文化や美意識を感じられるようなインテリアやデザインを取り入れ、「和の心」で差別化を図っていく。
担当者は「ロシアはスパの文化が浸透しているので、日本の伝統的な温泉をコンセプトとした新しいスタイルの温浴施設を楽しんでもらいたい」と話す。残念ながら空港付近に温泉は沸いていないため本物ではないが、人口温泉のようなイメージの施設が作られる予定だ。
新ホテルは地上7階程度になる見込みで、客室数は約300室、延床面積は約30,000㎡と、空港に隣接するホテルの中では随一の広さを誇ることになる。ホテルブランド及びホテル名は、施設の詳細設計を進める中で決定していく。
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