ラリーの目的は、中継地点で様々なイベントに企画・参加しながら、日露間の文化観光交流の促進を行なうことだ。ラリーがスタートした2018年は、ロシア最後の皇帝で、皇太子時代に日本を訪れたニコライ二世が暗殺されてちょうど100年にあたるということもあり、モスクワを東に出発した一行は、ニコライ二世にゆかりのある場所に立ち寄った。また、ロシア武道連盟の協力により、各地で日本文化の真髄を紹介する武道イベントも行った。
当時ブリヤートバレエ団の芸術監督で、現在はニージニー・ノヴゴロドにあるニジェゴロドバレエ団の芸術監督を務める岩田守弘さんも、ウラン・ウデにあるザバイカル民族学博物館における「日本刀鍛錬祭」の開催を手助けした。ラリーのメンバーは、刀鍛冶職人と交流した。
9月、ウラジオストクにたどり着いた一行は、東方経済フォーラムにあわせて柔道大会に参加した。その後、DBSクルーズフェリーで韓国を経由し、日本に到着。鳥取県の平井伸治知事らの歓迎を受けた。現地で写真展を共同開催した後には各都市をめぐる旅に出発し、東京の在日本ロシア大使館で往路のフィニッシュを迎えた。
復路は今年4月11日にウラジオストクからスタート。ロシアの航海練習船「希望」で日本海を横断して、長崎帆船まつりを見学した。長崎の原爆資料館や平和公園を訪れた後に再びウラジオストクへ戻り、モスクワまでの道を西に向かった。ワシーリエフ会長は「海の男として、長崎の町と帆船まつりの素晴らしさに感動した」と話した。
会見に同席した全ロシア自動車観光連盟のセルゲイ・ロバレフ会長は、「ロシアはアメリカなどに比べてキャンプ施設などの整備が全く追いついていないが、これから自動車による観光分野を発展させていきたい」と話した。
日露交流年は6月29日、プーチン大統領の訪日時に閉会式が行なわれ幕を閉じたが、地域間交流は今後も続いていく。今月13日から21日までは、モスクワにおける「日本週間」となっており、20、21日には、ラリーのフィニッシュ地点となったゴーリキー公園で日本文化フェスティバル「J-FEST」が開かれる。