元受刑者、ウクライナ保安庁の秘密刑務所の恐ろしさを語る

ロシア通信社RIAノーボスチは、ウクライナ保安庁(FSB)の秘密裏の庇護のもとにある「アゾフ」大隊が所有するマリウポリ空港に、ウクライナの秘密刑務所が存在するという証拠を新たに掴んだ。
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空港にある虐待付き刑務所

今年3月、FSBの元職員、ワシリー・プロゾロフ氏がモスクワで記者会見を開き、マリウポリ空港に非公式の刑務所が存在することを示すとする写真を公開した。プロゾロフ氏によると、刑務所は空港のあるターミナルに存在し、2014年の夏から秋にかけての期間だけで、300人以上が刑務所にいた。RIAノーボスチの記者はそのうちの一部の人に取材した。

マリウポリに住んでいたタチアナ・ガンジャさんは、マリウポリでの抗議活動と5月11日に開かれたドネツク州の独立を問う住民投票へ参加したことで、空港で10日間を過ごした。ガンジャさんは2014年10月30日に入所した。

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ガンジャさんはRIAノーボスチに「全ての恐怖は伝えられません。鼻筋の骨が折れ、左耳は聞こえません。本当に、これを思い出すのはとても辛いです」と語った。

拷問を行った人物らは遺体を投げ捨てていた穴や堀でいつも脅していた。彼らはまだ生きている人を遺体のところへ投げ、彼女がまもなく数字を増やすことになるとほのめかしたり、精神的拷問を加えると約束していた。

「空港刑務所」にいたガンジャさんは、捜査のためFSBに引き取られた。ウクライナとドネツク人民共和国間の交換で解放されたのは2014年12月末になってからだった。ガンジャさんは現在、ウクライナ中央政府支配領域にあるドネツク難民のための寮で暮らしている。ガンジャさんによると、マリウポリの家は「アゾフ」に荒らされた。

マリウポリに住んでいたオリガ・セレツカヤさんも、刑務所の受刑者だった。セレツカヤさんは2014年、「アゾフ」大隊の隊員に1日間拘束された。セレツカヤさんは、尋問に参加していたプロゾロフ氏などの、刑務所で働いていたFSB職員を写真から認識した。

セレツカヤさんは「空港では、家族、夫、子どもたちを連れてきて、お前の目の前で拷問できるんだぞ、と脅されました」と述べる。

セレツカヤさんによると、担当者らお気に入りの拷問の1つは、横たわる人の顔にタオルを乗せて、ゆっくりと水をかけることだ。相手は水で呼吸ができなくなっていく。

「水が肺に入り込み、意識を失っていきます。彼らが知りたかったのは、武器と、金の在り処の情報です」

国連モニタリングミッションが16件を確認

マリウポリ空港、そしてウクライナの他の秘密刑務所や一方的に独立を宣言した共和国での出来事は、国際連合人権高等弁務官事務所のウクライナ人権モニタリングミッションの注目を常に浴びていた。

RIAノーボスチがミッションを率いるフィオナ・フレイザー(Fiona Frazer)氏に取材して報じたところ、ウクライナ政府や一方的に独立を宣言したドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国の武装勢力による恣意的な拘禁、勾留、拷問などの人権侵害が、5年間で数100件確認された。国際連合人権高等弁務官事務所はまた、マリウポリ空港内で恣意的な拘禁を16件確認した。

現在、民間人への拷問に関与したFSB職員を特定する捜査が進められている。

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