ストルテンベルグ事務総長はニュージランドで学生を前に講演し、その中で「NATOは40年間、機構の領域を越えなかった。この間、我々が行ったのはたった一つ、ソ連の抑制、それだけである。それは成功したと言える。冷戦は一つの発砲もなく終わり、平和が維持されたのだから」と語った。
ストルテンベルグ事務総長は、ベルリンの壁の崩壊、冷戦終結を経て、人々がNATOの必要性に疑問を持ち始めたと言う。「NATOの対抗勢力であったワルシャワ条約機構は消滅し、ソ連が崩壊したのだから」。
ストルテンベルグ事務総長によると、当初の目的であったソ連の抑制は、ソ連崩壊とともに消滅し、NATOは存在意義のために自身の国境線を越えることを決定したという。
「NATOも同じように消滅すべきかと問題提起された。廃止すべきか、欧州と北米の領土を越えるべきか。私たちは後者を選んだ」とストルテンベルグ事務総長は語っている。
NATOは1949年に、欧州をソ連の影響から保護すべくアメリカで誕生した。1954年にソ連はNATO加盟を申請したが、拒否されている。
1955年、NATOに対抗する形で、ソ連、アルバニア、ブルガリア、ハンガリー、ドイツ民主共和国(東ドイツ)、ポーランド、ルーマニア、チェコスロバキアの間でワルシャワ条約機構が設立された。ワルシャワ条約機構加盟国には、国際関係において武力による威嚇あるいはその行使を控え、加盟国が武力攻撃を受けた際は、その国に至急援助を行うことが課されていた。
1991年2月、ワルシャワ条約機構の軍事機構の廃止が決定した。
冷戦が終結しワルシャワ条約機構が解散するまで、NATO正規軍が軍事作戦に参加したことは一度もない。しかし1991年以降、NATOは精力的に拡大を進めただけでなく(1999年にハンガリー、ポーランド、チェコが加盟。2004年にブルガリア、ラトビア、リトアニア、ルーマニア、スロバキア、エストニアが加盟。2009年にアルバニアとクロアチア、2017年にモンテネグロが加盟)、クウェートにおける対イラク紛争、旧ユーゴスラビア領内、アフガニスタン、イラク、スーダンにおける戦争に参加している。