スプートニクはこれまで、被爆者の体験談を伝えてきた。
特に、長崎の被爆者、山脇佳朗さんの体験は、読者からの反響を呼んだ。山脇さんは、爆心から500メートルの職場で被爆した父を兄弟と一緒に迎えに行った。折り重なってゴム人形のようにふくれあがった死体をひとつひとつ跨ぎながら、工場までの道のりで見た光景は凄惨なものだった。やっとの思いで工場に着くと、笑ったような表情で亡くなった父親の姿があった。遺体を火葬しようとしたが、燃やせるものが残っておらず、手足だけが骨になり、遺体は灰に埋もれたままだった。手足の骨だけで父親を見捨てる気になれなかった山脇さんたちは頭の骨だけでも持って帰りたかったが、山脇さんの兄が箸で軽く父親の頭蓋骨に触れると、それは脆く崩れ、白濁した中身が流れ出した。山脇さんたちはそれ以上、その場にいることはできなかった。
74年目の長崎原爆の日:十字架の帰還と「ナガサキ」の動詞化
© 写真 : Nagasaki Foundation For the promotion of peace
7日には、かつて長崎市の旧浦上天主堂に飾られていた木製の十字架が、米国から返還された。この十字架は1934年から1938年頃にかけて祭壇に飾られていたもので、被爆時には別の場所に保管されていたという。戦後、米国に駐留した米国軍人が見つけ、母国に持ち帰り、研究機関に保管されていた。9日から一般公開される。朝日新聞は、「この十字架は核兵器を保有する米国と各国政府にその使用をやめるよう促している。浦上に返還することで、新たな意味が見いだされるだろう」という、十字架を返還した米国ウィルミントン大学平和資料センターのターニャ・マウス所長の声を紹介している。
8日、西日本新聞は、米人気ドラマ「THIS IS US」の登場人物のセリフで、「Nagasaki」が「破壊する」「つぶす」という意味の動詞として使われていたことを報じた。問題のシーンは、テレビ局のトップが、番組降板を申し出た俳優に「もし降りるなら、お前のキャリアをつぶす」と脅す場面。
ここで、「Nagasaki」が動詞として使われていたのである。翻訳の専門家らによれば、この表現は米国でも全く一般的ではないということだが、原爆の被害を受けた長崎を「脅し文句」にするという使い方に対して、被爆者・関係者には不快感が広がっている。