現在に至るまで誰も、水からトリチウムを除去する効果的な方法を知らない。日本は、状況評価のため、国際専門家たちを事故現場に招くことをあまり歓迎していない。福島第一原発は、米国の大手企業ゼネラル・エレクトリックによって設計された。福島第一原発の技術的欠陥によって起きた大惨事のとき、すでに知られているように、原子炉冷却のために欠かせない電力供給設備は、使用不能になってしまった。私は、米国にとって、日本の福島の事故現場に、第三国の専門家が入ることが不都合であるという可能性を排除しない。第三国の専門家たちが設計の欠陥を指摘し、米国の原子力分野の欠点が明るみになったら、ゼネラル・エレクトリックの評判を落とすことになりかねないからだ。」
韓国外務省は、日本は今のところ韓国の情報照会について限定的な回答にとどめており、最終的な汚染水処理の計画は現在検討段階にあり、その開始時期については、準備が出来次第、国際社会に向けてそれを開示すると言っている、と指摘した。現在、東京電力のサイトでは、ウェブカメラで撮影した福島第一原発のビデオを閲覧できるようになっている。
グリバリョフ氏「100パーセントの信頼に足るような、客観的な情報は、国際専門家たちを現場に派遣してからになるだろう。彼らがそれぞれ汚染水の処理状況と廃棄状況を判断し、全員の力で問題解決に臨めば、全員にとって非常に貴重な経験になるだろう。」
セルゲイ・フローリャ氏は、自身の「ロスラオ」(放射性廃棄物処理公社)のイノベーション発展プロジェクト・オフィスを代表し、東京電力のために放射能汚染水の除染の国際プロジェクトを進めるコンテストに参加した。フローリャ氏は、最近日本を訪問し、福島第一原発にほど近い、公衆海水浴場も訪問した。
フローリャ氏「日本政府は事故処理のために巨額を割いているし、この分野の専門家として私が言えるのは、海水浴場には放射能汚染の危険性はない、ということだ。事故のあった原発からの排水も、WHOの規定に照らし合わせても、汚染水ではない。水中の、人間に影響を及ぼす放射性物質の含有量は基準値以内だ。福島第一原発からの排水は、もし水中のトリチウム含有量が現在の1万倍になれば、『汚染水』だということになる。それに、基準値を超えた水が10億立方メートルぶん廃棄されたとしても、文字通り『海の中の水滴』で、不都合な成分は海洋によって、制限値に満たないレベルまで『洗われる』だろう。」
それにしても、放射能は、現代の人類が最も恐怖するもののひとつである。最近、米国のテレビドラマシリーズ「チェルノブイリ」が成功を収めたことも、それを証明している。ソ連におけるチェルノブイリ事故は、よく福島第一原発の事故と比較される。しかし、フローリャ氏は、それは全く正しくないと指摘する。
フローリャ氏「チェルノブイリの事故では核燃料や放射性物質が直接大気中に放出されたが、福島の場合それはほとんどなかった。チェルノブイリ事故の影響はほとんど地球上全てに及んだが、福島の事故の場合は半径40から50キロメートルにとどまった。核燃料は、発電所の中に残った。それはメルトダウンしたが、それでも大事なのは、核燃料が飛散しなかったということだ。」