今秋、この都市の1万2000年の歴史が終わる。トルコ当局は10月、同地域で水力発電所の建設を開始する。
古代都市が永遠に過去のものへ
トルコ当局は、ハサンケイフの住民およそ8万人に立ち退きを命じた。チグリス川最大の水力発電所となるイリス・ダムの建設作業の約80%がすでに完了している。
ハサンケイフの住民や学術界が抗議し、計画を放棄するよう求めたが、トルコ指導部を説得することはできなかった。
トルコ外務省は「ダムは地域全体に電力を供給し、さらに貯水池の建設は環境にとって広範囲に及ぶプラスの影響を有するだろう」と発表した。
歴史に対するプラグマティズムの勝利
ニューヨーク・タイムズ紙によると、ダムの計画は1950年代に策定された。当時すでに技術者や役人たちは、この場所にダムを建設することによって地球上で最も古い集落のひとつが水没することを理解していた。
イスタンブールの建築史の教授、ゼイネプ・アウンバイ氏は「彼らは簡単に『歴史の中で動かなくなった』都市を破壊するのだ」と述べた。
アウンバイ氏はまた、ハサンケイフにはユネスコの保護下に置かれる都市となるすべてのチャンスがあるが、トルコ政府は一度も登録申請をしたことがないと指摘した。
主要な建築的および考古学的「奇跡」のひとつは、川を見下ろすエレガントな塔を備えた高い城塞。この城塞は水没の脅威にはさらされていないが、学者らは水の到来によって城塞の基盤が破壊されることを懸念している。基盤の破壊は必ずや城塞の崩壊につながる。
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