マハティール首相は、西側諸国の合同調査班がロシアを非難するための根拠について「我々はロシアを非難するのに十分な根拠が存在することに疑いを抱いている。第三者として、また外部のオブザーバーとして、複数の調査結果は、マレーシアの大勢の人々と同じように、私には正しくないように思われる」と述べた。
なお首相は、実際にロシアに責任があることが明らかとなった場合、ロシアは賠償金を支払う必要があると述べた。
首相は「我々には調査を行うことができる真に中立的な機関が必要だ」と語った。
悲運のMH17便とウクライナでの紛争
アムステルダム発クアラルンプール行きのマレーシア航空MH17便には乗客283人、乗員15人が搭乗しており、全員死亡した。
航空事故の犠牲者数では、2001年9月11日の米同時多発テロ事件に次いで2番目に多く、航空史上最悪の事故ワースト10に入った。
2014年7月17日、ウクライナ東部ドネツク州グラボヴォ村で旅客機の破片が見つかった。
同地域では2014年4月から、ウクライナから独立を宣言したルガンスク人民共和国とドネツク人民共和国に対するウクライナ軍による軍事作戦が実施されている。両共和国は2014年2月にウクライナでクーデターが起こった後、ウクライナからの独立を宣言した。
2014年9月以降、「ノルマンディー4者」(ドイツ、フランス、ウクライナ、ロシア)はデスカレーションに関する複数の合意を承認したが、紛争当事者間の小競り合いが続いている。
国連の最新データによると、紛争の犠牲者は約1万3000人となった。
同地域での活発な戦闘行為にもかかわらず、ウクライナはドンバス(ウクライナ東部)上空を民間機の飛行禁止空域にしなかった。
旅客機の燃えている破片が発見された後、ウクライナはドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国が旅客機を撃墜したとして非難した。一方、両共和国は、そのような高い高度を飛行する航空機を撃墜する手段を持っていないと発表した。
事故の犠牲者の多くはオランダ人だったため、ウクライナは国連、国際民間航空機関、国家間航空委員会、マレーシア、オーストラリア、ドイツ、米国、英国と協力して調査する権利をオランダに移譲した。
調査結果とロシア関与の非難
合同調査班は2018年5月24日、MH17便はロシアから運び込まれ、ロシア軍が保有していた可能性のある地対空 ミサイル「ブーク」によって撃墜されたとの中間報告を発表した。
これを受けてロシア国防省は、ロシアの地対空ミサイルシステムは「ロシアとウクライナの国境を一度も越えていない」と発表、MH17便の撃墜に関与したのはウクライナが保有する「ブーク」だとの完全な証拠を提示した。
ロシア外務省は、ロシアが関与したとする合同調査班の非難は根拠がなく、調査は偏見にとらわれており、一面的であると発表した。
プーチン大統領は、ロシアはMH17便撃墜事件の調査への参加が認められなかったと指摘し、調査に完全な形で参加できるのであれば、ロシアはその結果を受け入れるとする声明を表した。