2018年のノーベル文学賞受賞者の発表はノーベル文学賞を選考するスウェーデン・アカデミーのセックススキャンダルを受けて見送られたため、昨年の受賞者は今年の受賞者と共に発表された。
2017年10月5日のノーベル文学賞は日系英国人のカズオ・イシグロ氏に、「とても情緒に満ちたすばらしい作品」として授与された。
アカデミー
スウェーデン・アカデミーはグスタフ国王3世により、1786年に創立された。このアカデミーの設立目的は、スウェーデン語の純正さ、健全さ、高雅さを保つためであった。現在、アカデミーは現国王であるカール16世グスタフの庇護のもとにある。
アカデミーは毎年、作家や文学者、歴史家、翻訳者、教師、図書館司書、そして劇団関係者らに、様々な賞や奨学金を分配している。
アルフレッド・ノーベルの遺言により、アカデミーのメンバーの投票により、1901年からノーベル文学賞が授与されてきた。候補者の選出には、各界から選出された4人または5人から成るノーベル委員会があたり、任期は3年である。現在の委員会は2019年2月に任期を開始し、メンバーは9人だ。というのも、独立した専門家が入っているからである。
アカデミーのメンバー
最近まで、アカデミーのメンバーは終身制だった。しかし2018年、国王のカール16世グスタフはアカデミーの構成について変更を行った。現在、自身の意思によって、メンバーから離脱することが認められている。新メンバーの加入については、変更はない。新メンバー候補者は、現在のメンバー間で秘密投票によって選出され(12人の定足数が必要)、その結果は王によって承認される。新しい規則によると、アカデミーは、2年間の間、アカデミーの活動に積極的に参加しなかったメンバーの辞任を決定する場合がある。この改正は、2017年にアカデミーで発生したスキャンダルのために採択されたものである。
スキャンダル
スキャンダルの状況調査には、独立した法律事務所が関与した。 その結果、2018年4月末までに、受賞者情報に関する情報漏えいが複数のメンバーからなされていたことが判明。このため、翻訳者のサラ・ストリッツバーグ、カタリーナ・フロステンソン自身、常任秘書のサラ・ダニウスなど、数人のメンバーがアカデミーを去った。
スウェーデン・アカデミーは、このスキャンダルが「ノーベル賞文学賞の評判を下げ」こと、そしてアカデミーの信頼性が「損なわれている」ことを認めた。このスキャンダルに関連して、5月4日、スウェーデン・アカデミーは、2018年のノーベル文学賞は選考を行わず、2019年に2人の受賞者を同時発表すると決定した。
新体制のアカデミーと、ノーベル文学賞の代替賞
新アカデミーは46人の候補者をピックアップした。選考基準は一つだけ出会った。候補者は、「人と世界」をテーマにした本を2冊以上出版していなければならず、うち1冊はここ10年以内に出されたものであることだ。より候補者が多かったのはアメリカで13人。スウェーデンからは12人。イギリスからは5人。他にもイスラエルやインド、カナダ、ケニア、ナイジェリア、日本からの候補者が選出された。ロシア人候補者はいなかった。8月14日までに行われたインターネット投票では3人に絞られ、4人目を新アカデミーが自ら選出した。受賞者は5人の審査員によって選出された。
2018年10月12日、フランスの作家、マリーズ・コンデの受賞が発表された。村上春樹は候補に選出された段階で辞退を表明していた。授賞式は12月9日に行われ、コンデは100万スウェーデンクローネ(約15万ドル)を受け取った。賞金は個人や団体の寄付により新アカデミーが調達した。