ロシア人はきのこが大好き!でも…
ホクト産業の山岸建吾さんは、「世界一のきのこ屋になるには、自社できのこを作って販売するだけでなく、私たちが持っているものを使って、現地の生産者に栽培してもらい、その国のきのこ産業を盛り上げるという手段があります。ロシアにおいて、きのこビジネスは黎明期。このタイミングなら、一番乗りになれるチャンスです」と話している。
きのこが健康、美容によいことはよく知られている。ヘルシー志向の消費者が増えているロシアでは、ますますきのこの需要が高まっていくだろう。
画期的な日本のイチゴ「よつぼし」ロシアに上陸
プラント大手の日揮がハバロフスクで運営する「JGCエバーグリーン」は、キュウリやトマト、ナス、パプリカなど野菜の温室栽培を行なっている。この温室野菜は「ロシアの最も優れた商品100」に2年連続でランクインしており、ブランドとしての地位を固めつつある。
よつぼしは現在、ロシアで品種登録を進めている。ブースでは、よつぼしの苗や果実の実物を紹介した。
ロシア初・日本の畜糞発酵機、衛生状態も土壌も改善
特に注目が集まったのは、畜糞を処理し有機肥料に変える畜糞発酵機を扱う晃伸製機のブースだ。10月7日に、ノヴゴロド州でロシア初の同社の畜糞発酵機の披露会が行われたばかりとあって、畜糞の処理に悩む地域からひっきりなしに声がかかっていた。
蓄糞を放置すれば、腐敗して悪臭や病原菌の増殖につながってしまうが、正しく発酵させれば、有用な細菌や微生物が増殖し、堆肥化することができる。堆肥化してしまえば、肥料として無期限に保存することができる。こうしてできた有機肥料は土壌を改善させ、畑の収穫量アップにつながる。
発酵という技術は気温に左右されるため、これまで同社の畜糞発酵機は東南アジアや中南米など温暖な地域を重点的に広がっていたが、機械の下から温めた空気を通気するという新技術が開発され、寒冷地での導入が可能になった。
特に晃伸製機の発酵機の評価が高いのは、できあがる肥料が粒状化しており、そのまま畑に撒ける状態になっていることである。肥料の品質の高さについては、すでに南米の大規模農場の顧客らからお墨付きを得ているほか、ノヴゴロドでの実験でも、とうもろこしの収穫量が25パーセントアップ、大豆が40パーセントアップという結果が出ている。
今回、畜糞発酵機を導入したロシア企業「ベルグランコルム」では、年間7万トンのブロイラーを生産しているが、出てくる鶏の糞はそれよりも多い。糞の活用を試みてはいたが、ノウハウがなかった。披露会にはノヴゴロド州のアンドレイ・ニキーチン知事をはじめ、多くの有力者がつめかけ、このプロジェクトにかけるロシア側の並々ならぬ思いが感じられた。
晃伸製機の角谷一範専務は「機械を作って売るだけではなく、蓄糞から堆肥を作り、そうして改良された土壌から作った農業生産物がまた畜産につながる、というような、社会的な循環を作っていきたい」と述べ、ロシアの農業ソリューション全体に貢献したいという姿勢を見せている。
その他にも日本ブースでは、はかり、スライサー、急速凍結機、安全性の高い除菌剤など、様々な技術や商品が紹介された。「黄金の秋」は基本的には農業関係者向けだが、一般来場者もおり、飾りの招き猫やだるまを売ってほしいと求める人さえいた。
「黄金の秋」にはメドベージェフ首相をはじめ、多数の政府関係者が訪問。メドベージェフ首相は開会の辞で、ロシアはこの数年間で小麦の輸入国から輸出国になり、アーモンドなど気候の問題で今まで栽培してこなかったものを作れるようになったと述べ、農業分野の支援の成果を強調した。