ロシア気象庁のグローバル分析・天気予報課のタチアナ・べレジナヤ課長は、紫色の雲というのはまず、強力な視覚効果であると解説している。
「熱帯低気圧は大雨をもたらす雷雲をともない海上で発生します。雷雲に含まれる水分により視覚的効果で異なる色に見えるのです。風の強い天気であれば雲は赤く見えます。日本ではこの現象と台風の到来が一致したため、日没の時間帯、この赤色が暗い雷雨のスペクトルと重なり、結果として、台風の前に紫色に見えたわけです。しかし空のトーンは、台風の前には、全く別の、他の色に見えることもあります。
例えば2017年にアイルランドを直撃したハリケーン『オフィーリア』は、徐々に勢力を弱めましたが、アフリカからの埃を運んできました。このため空は、世界の終わりをほうふつとさせるような、信じられないほど一面の黄茶色に覆われました。
しかし幸い、日没風景が美しかったとしても、それはいつも、自然災害が起こるという印ではありません。」
最新の技術のおかげで、すでに現代では、雲の色や日没の様子を見て、台風を予言する必要はなくなっている。しかし、ロシア気象庁の上級気象学者マリーナ・マカロワ氏は、衛星をもってしても、台風の猛威のレベルと被害を受ける地域の正確な情報が得られる保証はないと指摘している。
「台風の予兆で特徴的なのは、強風と大量降雨ですが、おもに災害をもたらす要因としては、強風によって発生する高波でしょう。高波は満潮のときに形成されます。台風19号ハギビスも、通常よりずっと潮が満ちているときに日本へ進路を進めました。学者は台風の発生の数日前には、その発生について予告することができますが、台風が上陸するタイミングを修正することはまだできないのです。」
台風19号ハギビスの影響で、10月13日から、 日本では70人以上の犠牲者が出ている。 台風は暴風と大雨をもたらし、 日本中の73か所の堤防を破壊した。