「蛇つかい座」で3つ目のブラックホールを発見

ドイツのゲオルク・アウグスト大学ゲッティンゲンの天文学者らが、NGC 6240銀河の中央に位置する「蛇つかい座」に3つの超大質量ブラックホール群があることを発見した。『サイエンス・アラート』誌が報じた。これらのブラックホールは、3つの小銀河が同時に衝突した後に発生したものと考えられる。
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遥か彼方の銀河で

NGC 6240銀河は地球から3億光年の距離に位置する。1980年代に、同銀河は小さな2体系の合成体であり、その中心部に2つの超大質量ブラックホールが同時に存在することが明らかにされていた。

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しかし、ゲオルク・アウグスト大学ゲッティンゲンの研究者らは、これらのブラックホールの1つは、その後2つであることを解明し、その結果、NGC 6240銀河には全部でブラックホールが3つ存在するということを明らかにした。研究者らは、この問題を学術誌『アストロノミー・アンド・アストロフィジックス』で公表した。

現在、NGC 6240銀河では、太陽の約3億6千倍の質量を有する「北部」ブラックホールNのほかに、さらに2つの「南部」ブラックホールが存在することが解明されている。これら2つはそれぞれ太陽の7億1千倍の質量のS1と太陽の「わずか」9千万倍のS2であることが分かっている。太陽系の中心に位置する超大質量ブラックホールが太陽の質量の430万倍であることからこれらがいかに大きいかが分かる。

また、研究者は宇宙の規模からすると比較的限られた範囲内(3260光年未満)で多くのブラックホールをはじめて発見したことになる。

同じような系統としてはSDSS J084905.51+111447.2銀河が確認されているが、しかし、この場合、ブラックホール間の距離は1万光年であった。


なぜこのことが重要なのか

3つのブラックホールの間隔がさほど広くなく、それらが同じような規模で、周辺の星々の動きにいくつか特徴的な傾向があるということから、かつてこうした宇宙の「重量級」が存在した銀河が、数千万年前に事実上同時に物理的衝突を起こしたのだと研究者らは指摘する。

以前、天文学者らは、巨大銀河は近くの銀河を順番に吸収しながら巨大化していくと考えていた。NGC 6240銀河での「3重の衝突」の痕跡の発見は、宇宙の銀河が別の形態で拡大した可能性をはじめて物語っている。

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