国際農業ビジネス・食料安全保障センターのアナトリー・チーホノフ所長(大統領府付属ロシア国民経済・行政アカデミー)によれば、フランスで発表された研究に過剰反応して食卓から大豆を遠ざけるのは時期尚早とコメントしている。
「この大豆騒動は実際のところ、経済的な理由に起因しています。畜産家と農家の争いがこの背景にはあると考えられます。必要なタンパク質は大豆製品だけで摂取できると分かり、市場の覇権争いが始まったのです」とチーホノフ所長はスプートニクの取材で説明した。
研究によれば、大豆は有害な植物性エストロゲンを含むほか、人体に必要な亜鉛、鉄分、マグネシウム、カルシウムの吸収を妨げる。さらに、甲状腺に作用してホルモンの合成を阻害する。つまり、大豆は甲状腺の機能低下や甲状腺ガンを引き起こすといえる。
さらにチーホノフ所長はこのように続けた。「この素晴らしい例がアジアです。アジアでは大豆を幼少期から摂取していますが、長寿社会で世界的に知られています。それは発酵大豆を摂取しているからです。さらに中国、日本、ベトナムでは大豆そのものを摂取する文化があります。大豆は伝統食品となっていますが、その摂取により健康被害が起きているようには見えません」
大豆そのものを摂取する場合、専門家は1日当たりの摂取量を30グラムから40グラムに制限している。動物性たんぱく質を摂取しない菜食主義の方であれば、80グラムまで摂取しても問題ない。
ただし、遺伝子組み換えの大豆は避けるべきだとしている。米国産の大豆はほとんどが遺伝子組み換えだ。
「研究者らは遺伝子組み換え作物の利点と弊害について明確な説明をいまだに行っていません。遺伝子組み換え作物は家畜の飼料として使われるべきものです。人体への影響については何もわかっていません。遺伝子組み換え作物が私たちの体にどのような作用と変化をもたらすのか、この判断にはさらに時間が必要です」
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