核戦争に備えた重戦車「オブイェークト279」
同誌がこの重戦車についてまず最初に言及するのは、小皿のような形をしたユニークな車体だ。この形状によって、設計上、核爆発の爆風や衝撃波から戦車と乗組員を守ることができると考えられていた。
さらに、「オブイェークト279」には履帯が4本もあるが、これは深い雪や湿地の中での走行能力を高めるためだった。これにより防御用対戦車障害物「チェコの針鼠」や切り株など垂直に立っている障害物が車体底部に突き刺さるのを防ぐことができた。
この重戦車の主砲に130mm戦車砲М-65、副武装には14.5mmKPV重機関銃が使用された。搭載弾数はそれぞれ24発と300発。また4人の乗員が乗り組むことができた。
記事で特に注目されているのは「オブイェークト279」の装甲パネルの厚み。砲塔の厚さは319mm、車体の厚さは269 mmもある。
「ナショナル・インタレスト」によると、この重戦車は1970年代に軍備されたソ連戦車Т-72の装甲よりはるかに厚い。
幸い、「オブイェークト279」は不採用
しかし「オブイェークト279」はソ連軍に正式採用されなかった。同誌の専門家らは、1950年代半ばには戦闘でより効果を発揮するのは高速で機動性に優れた軽戦車だとする考えが主流になり、重戦車はもはやその重要性を失ってしまったからだと説明している。
「オブイェークト279」の唯一の試作車は、モスクワ郊外のクビンカ戦車博物館で展示されている。
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