伊藤さんは2015年、当時、TBSワシントン支局長だった山口氏に就職の相談をした際に酔って意識を失い、ホテルで山口氏に性的暴行を受けたと主張し続けてきた。刑事事件としては不起訴扱いにされ、その理由も説明されなかったため、1100万円の損害賠償をもとめる民事訴訟に踏み切った。
伊藤さんは事件を公にしてから支援だけではなく、偏見もうけてきた。民事訴訟という形で名前を公表し、顔も出して戦い続けたのは、事件を表に出すことで、法律、報道、教育と様々な面で被害者を取り巻く環境が遅れている日本に一石を投じる思いからだった。判決では「広く社会で議論することが性犯罪の被害者をとりまく法的、また社会的状況の改善につながるとして、公益を図る目的で表現されたもの」と、裁判に踏み切った伊藤さんの行為が評価された。判決後の会見で伊藤さんは自著『ブラックボックス』に触れ、自分で声をあげ、発信するしかないと思った経緯を話した。
一方、山口氏は判決を不服とし、同日に控訴する意向を表している。山口氏は性行為は同意のもとで行われている、弁護士が訴訟外で発信しないよう制限していたため、「沈黙がマイナス」につながり、社会に伊藤さんの主張だけが一方的に流布されたと不服を示した。
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