パリ国立オペラのバレリーナら 寒風の中「白鳥の湖」を踊り、年金改革に抗議【動画】

パリ国立オペラのアーティストらは仏政府の発表した年金改革に抗議し、クリスマスイブの24日にパリの中心部で公衆の面前で無料で公演を行った。40人のバレリーナらはパリ国立オペラの建物の前でずらりと並び、「パリ国立オペラはストライキ中」「文化は危機に瀕している」と書かれた横断幕を前にチャイコフスキーのバレエ『白鳥の湖』の一場面を演じた。
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ル・モンド紙は、バレリーナらがバレエの中でも最も難しいとされる4幕を選び、「吹きさらしで冷えた大理石の上で」踊ったと記事に書いている。

日本の急速な高齢化は予算への負担を増大させる
抗議のバレエに参加した23歳のエロイーズ・ジョケヴェリさんは年金改革でパリ国立オペラのバレエダンサーは一人残らず困難に直面したと語っている。改革前の特別な年金制度ではダンサーらは42歳で年金生活に入ることができた。これは仕事柄、怪我を負うリスクが高く、40歳以降、踊り続けることが難しくなることが考慮されていたからだ。ところが改革後の新年金制度では怪我リスクに対する補償は廃止され、年金受給年齢も60歳以降に設定されている。

「バレエ学校に入学したのは8歳。家族から離れてレッスン通いを始めました。1日5時間踊り続ければ、17歳から18歳でダンサーの多くは慢性的な怪我、筋の炎症、疲労骨折、膝の痛みを覚え始めます。私たちの多くは学士号さえ持っていないんです。」ジョケヴェリさんはこう訴えている。

損害は数百万ユーロに

パリ国立オペラのストライキはすでに15日目に突入。この間に45の公演が取りやめとなり、損失額は800万ユーロにのぼっている。キャンセルされたオペラ『イーゴリ公』の公演1つだけをとっても1晩の損害額は35万8千ユーロとなった。同劇場のステファン・リスネル総支配人は、大晦日の12月31日の公演までキャンセルとなった場合、チケット販売からの損失額は年末までには1200万ユーロに達すると暗い見通しを発表した。

​特筆に値するのはパリ国立オペラの歌手らで、彼らの年金受給開始年齢は50歳。また仏の他の劇場のバレエダンサーらはもともと特別扱いを受けておらず、62歳という年金受給開始年齢の書かれた契約に不満はない。

仏の年金改革とは? 誰がストをしている?

フランスではここ数十年で最大の年金改革の準備が進められている。政府は特に、公共部門を中心とする多数の業種で早期退職し優遇を得るなどの42の特別制度の廃止を予定している。また年金額の計算基準も変更予定。最高給与25年をベースとする代わりに、全勤続期間の平均給与額がベースとなる。年金改革が目指すところは、この先、年金システムが数十億ユーロの赤字を抱えぬよう、その防止。

仏の年金改革に抗議する無期限ストライキは12月初めから延々と続いている。公共交通機関の労働者、医療関係者、エネルギー産業従事者、トラック運転手、フライトディスパッチャー、警官、弁護士、消防士、ごみ収集業者などがこれに支持を示していた。

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