ロシア最大のIT企業Mail.Ruグループは、新年の子ども向けプレゼントではガジェットなどの電子機器の人気がさらに高まっていると発表した。心理学者らはこれに懸念を表した。
コンピュータはおもちゃではない
モスクワ心理・教育大学准教授のエレーナ・アブドゥラエワ氏は「子どもはコンピュータをおもちゃとしてではなく、すでに理性を持った年齢になった時に、作業ツールとして習得すべきだと考えている。
子どもにゲーム用ガジェットをプレゼントすることは、子どもを痛めつけるようなものだ。なぜならガジェットの画面は、まだ完全に形成されていない精神を持つ子どもの注意を完全にコントロールするからだ。約20年前に『画面依存症』と診断されるケースが出てきたのは偶然ではない」と語った。
生きた生活は、生きた感情から生まれる
アブドゥラエワ氏は、子どもが実際の生活でできることを、アプリやゲームで行うべきではないとの確信を示している。
同氏は、家族や友達と一緒に食べることができる本物のケーキをつくったほうが有益だとしている。
また、遊びの世界も現実につくり出す方がよいと指摘し、精神生活や感覚器官のレベルで起こっていることを体験するために、実際に医者、消防士、または教師などを演じることができると述べている。
モスクワ大学のアレクサンドル・トホストフ教授は、自分の子どもを喜ばせるために、彼らが望む電子機器をプレゼントしたいという親の気持ちはわかるとしながらも、ガジェットは知育玩具ではなく、発達を促す機能を持っていないため、低学年の子どもにはプレゼントしないことをお勧めすると述べ、必要な場合は、親のガジェットを短時間使わせるようアドバイスしている。
クリエイティブになれ
アブドゥラエワ氏によると、米シリコンバレーのIT業界のトップらは、自分の子どもたちをガジェットから保護し、手作業や芸術科目の授業が多い学校に通わせている。その理由は、自分の経験から、真に新しいものをつくり出せるのは、子どものころ創作に取り組んだ人だけであることを知っているからだという。
幼少期にガジェットの画面の「奴隷」だった人は、意思決定における指導者になることは決してできないとされる。
アブドゥラエワ氏は「気づかないゲームの囚われ人は、自己形成の時期に最も重要な自主性、また、創造力や意志の強さといった自己能力の発達が阻止される。子どものためにガジェット買うかどうかを決めるときには、これを理解する必要がある」と述べた。