新型コロナウイルスの感染が4例確認されたフランスでは先日、アジア系の市民が「私はウイルスではない」を意味するハッシュタグ#JeNeSuisPasUnVirusを発信した。これによって彼らは、アジア系の顔の特徴である吊り目を見るとイコール危険ととらえる一般の人々に、自分らが決して危ない存在ではないことを示そうと躍起になっている。
このアクションは、フランスに住む中国や他のアジア諸国の出身者らが露骨な外国人嫌悪にぶつかり始めたことから、SNS上で開始された。
ハッシュタグ #JeNeSuisPasUnVirus をつけたメッセージでユーザーらは、新型コロナウイルスの感染拡大による不安の高まりと同時にどんな外国人嫌悪にぶつかったかを語っている。ケティー・トランさん(女性)は東部コルマールの町で職場に向かう最中にある男性が別の男性に「気をつけろ。中国人の女がいるぜ」と言ったのを耳にしたと書いていた。
BBCからの取材を受けたトランさんは、この他にもスクーターに乗ったフランス人男性から通りすがりにマスクを着用しろよと命令されたことがあったと語っている。外国人嫌悪にぶつかっているのはフランス在住の中国人だけではない。東南アジア出身者も事情は同じで、まわりが自分を保菌者かもしれないと疑い思い始めたと感じている。パリ在住のシャナ・チェンさん(17)はカンボジア人とベトナム人の両方の血をひく女性だが、BBCからの取材に自分がバスで移動中に外国人を嫌悪する会話を耳にしたと語っている。「見ろよ、中国人女だぜ。うちらに伝染をばらまいてんだ。とっとと家に帰れ」と言われたシャナさんはみんなが「嫌悪に満ちたまなざし」で自分を見ているのを感じた。「まるで私がウイルスそのものみたいに。」
中国出身者の事業者は収入の4割減を味わっている。中には80%もダウンした例もある。
中国人への差別はアジア諸国でも起きている。英字新聞サウス・チャイナ・モーニング・ポスト紙の報道によれば、日本のある町では感染症の予防対策として「中国人の入店お断り」を掲げた店舗が差別だとして非難を浴びた。
またマレーシアのSNSでは、新型ウイルスの拡散は中国が新疆ウイグル自治区の市民を差別していることへの「神の裁き」だという意見が広がっている。