まず、元となったキアヌ・リーブスさんの写真を見てみよう。写真でキアヌさんはベンチで一人さみしく座っている。ちなみに、この写真はキアヌさんのコラ素材としてよく用いられている。
次の白黒写真は、ウクライナの10年生用(日本の高校1年生に相当)の世界史の教科書に掲載されている。この写真は『摩天楼の頂上でランチ』と名付けられ、大恐慌最中の1932年、安全装置なしで米ニューヨークのロックフェラー・センタービルを建設する作業員が横桁に腰掛け、昼食をとる様子を撮影したもの。この写真は、仕事内容は危険極まりなくとも職を得ただけで人々は喜ぶという大恐慌の世相をよく表したものとして知られている。ところが、この写真の右端になぜかキアヌ・リーブスさんが入り込んでいる。
このコラ写真は教科書の58ページに掲載されている。
教科書は2018年に出版された。ウクライナ教育科学省もこの教科書を推薦している。
どうして教科書にコラ写真が?
この教科書の著者らが、ウクライナの10年生をインターネットのユーモアで意図的に楽しませようとしたとは考えにくい。同国では過去数年間、激しい政治的、社会的変化が起きた。2014年のウクライナ騒乱直後、同国では歴史が再考。教科書も大急ぎで改定された。この教科書の著者らは、インターネット上にあったこの写真を使用したがまさかフォトショップでうまく加工されていたとは気が付かなかったのだろう。