男子シングル 間違いなかった羽生の優勝
羽生結弦選手(25)選手の四大陸優勝はファンだけではなく、マスコミ、国際スケート連盟、フィギュア関係者の間でも異論はなかった。羽生選手は2011年、当時16歳の初出場で男子史上最年少の鮮烈な受賞を果たして以来、2013年(18歳)、2017年(22歳)とすべてメダルは銀。今回こそ金メダルは間違いないと大いに期待されていたが、その期待は現実のものとなった。ショートプログラムで世界最高得点を記録した羽生選手はフリーとの合計で299.42点を獲得。ジャンプではミスが重なったが、それが勝利を揺るがすことはなかった。
2位に米国のジェイソン・ブラウン選手(25)が総合274.82点で入ったが、3位の表彰台に上ったのは誰も予想だにしなかった日本の若手の鍵山優馬選手(16)だった(総合270.61点)。総合267.67点で表彰台に漏れた4位の中国の金博洋選手(22)は、ショートは2位発進だったがフリーで順位を落とし、代わりに5位だった鍵山選手が上昇する形となった。今、鍵山選手は「新星」、「注目のホープ」と呼ばれている。鑰山は現在16歳。羽生が四大陸で世界最年少男子で表彰台に上ったのもそれと同じ歳だった。
羽生選手の勝利は疑いようもなかったが、それでも観客席は超満員になった。
男子シングルの演技開始から1時間が経過しても入場者の波は止まるところを知らない。そのほとんどのお目当てが羽生選手の応援だということは、抱える黄色のぬいぐるみの袋で一目瞭然。プーさんの袋を抱えた羽生ファンたちは日本や中国はおろか、オーストラリア、はてはポーランドまでとそれこそ世界の至ることろから集まってきていた。
こうした熱狂の理由はわかる。羽生は観客や記者らの興味をかき立てる才能があるのだ。公式練習でフリーの演技を見せるのは彼の本意ではない。羽生が練習で他の選手と同じリンクに立つことを好んでいないことから、観客が彼のフリーを見ることができるのは一回きりなのだ。
大会を盛り上げるため、地元韓国のフィギュアスケートのファンクラブが力を尽くしたことを忘れてはならない。クラブのメンバーらは通りすがりの人々に韓国人選手と韓国国旗が描かれたポスターを配布していた。
ペアとアイスダンス 今回も関心は今一つ
ペアでは隋文静&韓聰組(中国)が、アイスダンスではマディソン・チョック&エヴァン・ベイツ組(米国)が優勝した。
残念なことに、今回の四大陸選手権を観戦したファンは、ペアやアイスダンスにほとんど関心を示さなかった。本大会に夫婦で出場のアイスダンスの日本代表、小松原美里&ティム・コレト組はシングルだけではない、アイスダンスの魅力についてスプートニクからの独占インタビューに語っている。どうぞお読みください。
新型コロナウイルスに厳戒態勢
今回の四大陸選手権が行われた韓国ソウルの木洞アイスリンクでは、羽生結弦選手の存在感に加えて、もう一つの事象が目についた。それは主催者側が新型コロナウイルスの感染拡大を阻止するために強化したセキュリティー対策だ。アスリートに近づく取材陣のみならず、スタジアム来場者にも体温測定が行われ、至る所に消毒液やマスクが設置されたテーブル、新型コロナウイルスの症状を説明するポスターなどが貼られていた。
主催者側の徹底したコロナウイルス対策により、自身のミスを除いて選手らのパフォーマンスが悪影響は受けることは一切なかった。