クレムリンの発表によれば、プーチン大統領とロウハニ大統領は緊張緩和地帯に指定されるイドリブ県での軍事衝突を受けてシリア情勢について具体的に検討を行った。会談ではシリアの主権と領土保全やテロとの戦いなど、アスタナ会議の合意内容を完全に順守する必要性をともに確認した。
また、トルコ軍とシリア政府軍との対立についてロウハニ大統領は政治的交渉で解決すべきとして、双方による武力行使に懸念を示したほか、シリア北西部の衝突により米国が軍事介入する可能性を警戒する必要性を訴えた。
会談の中ではイランの核合意についても協議が行われた。両大統領はイラン核合意の関連で合意した「包括的共同行動計画」の実現に向けた手順を確認した。
なお、イランで新型コロナウイルスによる犠牲者が拡大していることを受けてプーチン大統領はロウハニ大統領に哀悼の意を表し、ロシア側として感染拡大の阻止に向けて協力は惜しまない姿勢を示した。
2017年5月、ロシア、イラン、トルコの3か国は、カザフスタンの首都アスタナ(現在のヌルスルタン)で、シリア国内の4ヵ所に緊張緩和地帯を設置することで合意した。うち3ヵ所の地帯は、2018年にシリアの管理下に置かれた。イドリブ県及び隣接するラタキア、ハマ、アレッポ 3 県の一部にある4カ所目の地域は、今もシリア政府の管理下になく、その大部分は、ロシアで活動が禁止されているテロ組織「ジハード・アン=ヌスラ」に掌握されている。
ロシア南部ソチで2018年9月、ロシアとトルコは、10以上の様々な組織が存在するイドリブ県に非武装地帯を設置することで合意した。
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