フェリペ6世は同時に、ファン・カルロス1世からの資本、投資、財産も含めた一切の相続遺産を、その出どころや性格、目的が法規則や制度の活動に即わない恐れがあるとして、これを放棄することを決めた。
スイスの「ジュネーブ・トリビューン」紙の報道によれば、フェリペ6世は、前国王が元愛人のコリーナ・ツー・ザインビトゲンシュタインさんに送金した6500万ユーロの出所を検察が捜査し始めたあと、こうした決定をとった。
マスコミによれば、この資金はサウジアラビア国王の取り巻きから、メッカとメジナ間の高速鉄道敷設へのスペイン企業との契約締結の際に前国王が仲介役をとったことに対する「謝礼として」2012年にスイスの銀行口座に送金された一部。
英テレグラフ紙によれば、この他にもフェリペ6世は、6500万ユーロの「サウジアラビアの金」があるオフショア・ファンドの「Lucum」の受益者の役割を果たしている。
スペイン王室はフェリペ1世自身は2019年3月5日まで自分がファンドの受益者であることを知らなかったと発表している。フェリペ1世はこれを知るや、2019年4月の時点でこの情報が事実である場合、自分は受益者を退くと公言していた。
スペインのオブザーバーらはフェリペ1世はこうすることで父親のスキャンダルから距離を置こうとしているとみなしている。
ファン・カルロス1世はスペインを36年に渡って支配した独裁者フランコの死後の1975年、王位に就いた。これをもってスペインでは44年に渡る共和制を経て、王政が復活した。フランコ支持者らが専制政治の継続を支持しようとしたにもかかわらず、ファン・カルロス1世はまもなく立憲君主制へ移行した。ファン・カルロス1世はカタロニア、バスク地方など独立を要求する地方との軋轢では安定を図っているとされてきた。ファン・カルロス1世は1981年のクーデターを未然に防ぐ働きをした。ファン・カルロス1世は次第に政治舞台から遠のき、象徴としての王に変貌を遂げた。