「自分の感染に気付いていない人は多い」 ドイツの感染者が語る実体験

ドイツ南部フライブルク在住のベアトリスさん(47)は、新型コロナウイルスの検査で陽性が判明したが、見事回復した。ベアトリスさんは陽性結果から数週間後、スプートニクのインタビューで「感染してもそれで人生は終わりではない」と自信を持って語った。感染は怖くないとはいえ、ベアトリスさんはドイツ政府の進める社会的接触の厳格な制限施策は正しいと支持している。
この記事をSputnikで読む

ドイツでは新型コロナウイルスの流行により外出制限や社会的接触の禁止措置が導入されているが、その効果を統計的に測定するのは現時点では難しい。同国の感染対策を担う政府機関ロバート・コッホ研究所によると、これまでのドイツの感染者は6万1913人。そのうち583人が亡くなった。数値は10日前に比べて10倍に増えた。一方、国際機関は、感染者数6万7051人、死亡者数650人とドイツの発表より大きな数字を発表している。コッホ研究所が公表する数値は、研究施設の検査で確認された症例のみ。しかし、実際の感染者数は、公表された数字の4〜11倍だろうとみられている。

公式発表によると、ドイツではすでに1万6000人以上の感染者が回復している。その中の1人が、スプートニクの取材に応じた独南部フライブルク在住のベアトリスさんだ。

教師のベアトリクスさん曰く、初期症状に気づいた3月8日の日曜日にすべてが始まった。どこでどうやって感染したのか未だにわからないという。なぜならその当時、彼女が言うように「南部には感染者がほとんどいなかった」からだ。彼女の初期症状はこうだった。「8日の夕方、手足の脱力感と頭痛がありました。翌日、大学病院に行き、検査をしてもらいました。」そしてその日の夕方、ベアトリクスさんは検査結果を受け取り、自分が陽性であることを知った。「全く予期していませんでした。私の周囲では全くといっていいほど感染者はいなかったのですから」


医者の処方は?

タイトルの質問にベアトリスさんは、医者と話をしたことは一度もなかったと答えた。「話をしたのは保健所の職員とだけです。保健所から定期的に電話がかかってきて、病状が悪化したり、肺や呼吸に問題がでたら、病院に行かなくてはいけないと言われました。」そのためベアトリスさんには薬は処方されず、要請されたのは2週間にわたる自主的な隔離要請のみ。すぐに自分の周囲の人たちのことを心配したベアトリスさんは、週末に会っていた友達に家にいるように伝えた。

ベアトリスさんの症状は次のようなものだった。最初の3、4日間、関節が重く感じ、頭痛があったため、終日ベッドから動けなかった。しかし、熱や咳も出ず、喉の痛みもなく、肺にも問題はなく、トイレットペーパーを買い占めている人たちが恐れている下痢も起こさず、嗅覚を失うこともなかった。つまりベアトリスさんにはこのウイルスによる特徴的な症状がほとんど出なかったのだ。

また彼女は肺炎球菌などの予防接種も受けたことがなかった。

レアなケース:日本のコロナとの戦いは他の国と何が違うのか?そしてどこでつまずいたのか?
「4日後にはベッドから起きあがれたのですが、まだ気分は悪かったです。当初はイブプロフェンを服用していたのですが、後日、マスコミの報道で服用しない方がいいと知りました。でもこの薬で感染症状の現れがより顕著になったとは私は言えません」

保健所の職員はベアトリスさんにほぼ毎日電話をかけて、体調を尋ねていた。

ベアトリスさんの知人では感染者はでなかった。しかし彼女は、多くの人は感染していながら、そのことに気が付いていないとほぼ確信している。それは正に彼女の家族間でも起きていた「自主隔離の2週間、自宅で家族4人で過ごしていたのですが、私以外の3人は症状はもっと軽かったので、検査も受けませんでした。」

この2週間、ベアトリスさんの家には友人や兄が通い、必要な物や食品を入れた袋を玄関に置いて、距離を保ったまま一家と挨拶をして帰っていった。またベアトリスさんの友人たちは、彼女を強く励まし、自分たちにうつしたかもしれないと気に病むことはないよと言って、気遣ってくれたという。一方、彼女の職場である学校では逆に、本気で怯えている同僚もいた。「これについて考えないようにと思っても、実際はとても難しいです。こういう時の反応はいつだって人それぞれ違いますから。私は隔離生活を終えて外に出ています。彼らは私を怖がる必要はありません。私はもうウイルスの媒介者ではないんですから。」


どうしてベアトリスさんは完治を確信しているのか?

ベアトリスさんは保健所の対応について「今、保健所はとても忙しく、全員をチェックすることも、各感染者を診ることもできないんです」と説明している。「発症から2週間は家にいるように言われただけです。この病気は普通、その期間で治まりますし、その後、感染状態が続くとしても最長で4、5日です。」ベアトリスさんには仮定的には1年間はこのウイルスに対する免疫ができていることになる。それはつまり彼女がもう感染しないことを意味している。

ドイツ政府は先週末、新型コロナウイルスのパンデミックに関連する制限を4月20日まで緩和することなく継続すると発表した。特に高齢者は、若者よりもさらに長期間、人との接触を制限しなければならない。ベアトリスさんは、そういった厳しい対策は正しいと考えており、感染者数の増加が確実に緩やかになることを期待している。「一緒に出かけていた5人全員が感染したと、私の知人が話していました。そのうち2人は入院したそうです。これから何が起こるのか正確には分かりませんし、誰が重症になるのかも分かりません」しかし、ベアトリスさん自身は全感染者の8割はそれほど重症にならないと信じている。

「自分の感染に気付いていない人は多い」 ドイツの感染者が語る実体験
コメント