3月31日、自民党と公明党は、来週に予定されている緊急経済対策取りまとめに向け、それぞれの提言を安倍首相に提出した。自民党案では、所得が大きく減少した世帯に大胆な金額を支給するよう求めている。当初は一世帯あたり20万円から30万円を支給する案を検討していると報道されていたが、具体的な金額は盛り込まれなかった。公明党案では生活困難者に1人あたり10万円を支給という具体的な要望が出ている。
斎藤氏「現金支給10万円は、新型コロナの影響で収入が激減した人には少なすぎます。一方、今のところ影響を受けておらず収入が変わっていない人には必要がありません。新型コロナの影響で甚大な被害を受けている一部の業界に資金を集中すべきです。具体的には、売り上げが大きく減った企業や個人事業主に対して損失補填をすべきと考えます。」
現段階で確かなのは、国民全員に対する一律の現金給付はないということだ。政府、特に2009年当時に首相だった麻生太郎財務相は、リーマン・ショック後の定額給付金の失敗を繰り返したくないという姿勢を明確にしている。
ロシアでも、新型コロナウイルスの感染拡大が進み、4月1日には771人の新しい感染者が確認され、ロシア全体での感染者数は3548人、これまでに出た死者は30人となった。
プーチン大統領は事態を重く受け止め、3月25日に続き、4月2日にも国民に向けて演説を行った。それにより、4月30日まで、有給の非労働期間となることが明らかになった。
ロシアの中でも比較的財政に余裕のあるモスクワ市は、新型コロナに関連した失業が増えていることから、市内の失業者1人あたりに毎月19500ルーブル(約2万7千円)を支給することを決めた。この手当ては、新しく就業しない限り、今年9月末まで毎月受け取ることができる。この額は、地価の高いモスクワでは家賃にはならないが、1か月分の食費には十分な金額である。受付初日で1万人以上の失業者が申請を済ませており、多くの人が当面の生活のための資金を必要としていることがわかった。
自民党、公明党とも、現金給付の条件は「所得や収入の大幅減」としているが、大幅減をどのように証明するのか、給付対象が個人なのか世帯なのか、線引きや条件については何も明らかになっていない。その内容次第では、更なる不安感や閉塞感が生まれてしまいそうだ。