4月3日、プーチン露大統領とノヴァク露エネルギー相は石油減産に対するロシアの立場を表明した。ロシアの立場とは、市場は協調行動を求めており、ロシアの石油産業はそれに応じる用意があるが、OPECプラスと、米国という大産油国と一緒でなければならない、というものだ。関係国は減産の延長を合意できるのか、新たな形式のOPECプラスは生まれるのか、専門家がスプートニクからの取材に答えた。
交渉は簡単ではない
現状では石油価格の安定化に関する交渉は厳しいものになる。こう考えているのはロシア政府金融大学の専門家で、国家エネルギー安全基金のリードアナリストであるイーゴリ・ユシコフ氏だ。彼によると、決してすべての輸出国に大幅な減産の用意があるわけではない。「取引は非常に難航するだろう。現状では日量1000万~2000万バレルの減産をしなくてはならない。これが一時的な措置であることは分かっているが、すべての市場プレーヤーにとって大きな痛手だ。ロシアは、減産はすべての国が行うべきだと主張している。サウジ側は増産すると脅しており、明らかにこれに同意していない。すでにこの段階で交渉には躓きの石が予想される。」
サウジの専門家、ラシド・アバヌミ氏は言う。「OPECプラスの義務の形式を変えなくてはならない。そうしないと、取引に参加していない米国の利益が他の国より大きくなってしまっている。米国は日量約1300万バレルを生産してきた。米国は、石油の輸出だけでなく、輸入もする、石油市場の自由なプレーヤーであることは分かっている。しかし、それでも、OPECプラスの形式を拡大し、減産義務を再配分することが必要だ。」
米国は合意に加わるのか?
このように、アナリストも専門家も米国が取引に加わることの重要性を強く語っている。さらにトランプ大統領自身も、新たな合意について何度も言及している。それでは、何が期待できるのだろうか?
レバノンの石油専門家のラビア・ヤギ(Rabia Yaghi)氏は、どうしてトランプ大統領があれほど積極的に石油市場の変動に反応しているのかを語り、次のように強調した。「石油価格が今のように低いままだと、米国は掘削リグや生産プラットフォームを閉鎖しなくてはならなくなる。シェールオイルはまったく不採算なままになってしまう。そして、米国の石油採掘企業の多くが倒産の危機にさらされる。だからこそトランプ大統領は静かに反応などしていられないのだ。しかし、米国が取引に加わるかどうかという問題は、未解決のままだ。」
ポジティブなシナリオ
OPECプラスの交渉には多くの困難が伴うにもかかわらず、レバノンの専門家は、交渉はポジティブな結果に終わり、参加国は妥協点を見つけるだろうと考えている。ヤギ氏は言う。「もし会合が成功すれば、石油価格は少なくとも1バレル30~35ドルに上昇するだろう。当然、現状から恩恵を受けた者もいる。例えば、極めて低い価格で石油を調達することができた国がそうだ。」
4月9日に石油市場の安定化に関するOPECプラスの新たな交渉が行われる。しかし、OPEC事務局が進める会合準備の進捗状況に詳しい情報筋がスプートニクに伝えたところによると、ロシアとサウジアラビアの石油減産に関するコンセンサスはまだなく、すべては交渉当日に決まるという。