新型コロナウイルス

新型コロナウイルス パンデミックから100日が経過

私たちの生活に新型コロナウイルスが蔓延し始めてから今週で100日を迎えた。昨年の12月31日、中国政府は世界保健機関(WHO)に未知のウイルスによる肺炎が蔓延しはじめたと通知した。この100日間はどんな結果をもたらしたのか。
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4月7日、中国は新型コロナウイルスのパンデミックが始まった武漢市の閉鎖を解除した。そして同日、日本では安倍晋三首相が日本経済の主要地域に「緊急事態宣言」を発令した。これが示すことはただ一つ。パンデミックは続いており、その終焉は明らかでないということだ。

100日におよぶパンデミックの結果は、少なく見積もっても150万人の感染者、およそ8万人の死者、そして多くの先進国で検疫期間のために生じた経済の停滞である。

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このスピードで状況が進展した場合、現在のパンデミックは規模の面で「スペイン風邪」の大流行に匹敵してしまう。1919年から1920年に蔓延した「スペイン風邪」により世界中で失われた人命は少なくとも2000万人。しかし当時の国民経済は現在のグローバリズムに特有のこれほどの相互依存はなく、都市集中度も高くはなかった。そのため、多くを類推することは適切ではなく、パンデミックで経済が被った損害が明らかになるのはまだ先になるが、その代わり政治が受けた影響は比較的早い段階で現れる可能性がある。

現代の高額な最先端医療も感染症に関しては、今のところ、100年前に採られたのと全く同じ方法で対処しようとしている。つまり「ソーシャルディスタンス(社会的距離)」や手洗い、自己隔離だが、これらが必要なのは健康な人であり、病人は基本的に自分の身体の免疫力に頼るしかない。効果的なワクチンや薬が期待できるのは半年か1年以上先になるからだ。

いうならば、医学が科学として力を発揮できるのは現段階では限度があるが、その医学の評価や予想に政治家や国家の指導者は頼らざるを得ない。

パニックを招きかねない、未曾有の予測不可能な状況で、彼らには理性的な決定を下す用意があるのだろうか。自分たちの下す決定が正しいものであると確信を示すことができるのだろうか。その決定を有権者は信用できるのだろうか。そしてこれが一番重要なことだが、指導者らの決定は選挙に勝ちたいという気持ちに操られたものなのか、それとも国益に駆り立てられたものなのか。不思議な話ではあるが、これはすぐに明瞭にわかる。

ニューヨーク州が危機的状況に陥る中でドナルド・トランプ大統領が新型コロナウイルスの感染脅威を軽んじていたことは忘れられはしないだろう。ニューヨーク州での感染者数は14万人超。これはこの記事の執筆の時点ではどこの国よりも多い数値だ。

この状況で、国家債務を超える額を米国経済に注入したところで、トランプ氏の大統領再選のためには効果薄だろう。

英国のボリス・ジョンソン首相の場合は、おそらく、新型コロナウイルス問題に対する軽薄な対応が許されるだろう。同首相は長い間感染症対策で断固たる措置を取らずにいたが、批判にさらされ、自己隔離を呼び掛けた。その後、ジョンソン首相自身がウイルスの犠牲となったのだから、有権者の同情を集めることは間違いない。

一方でドイツのメルケル首相とフランスのマクロン大統領は、一貫性と決断力を示し、悪夢のような発症統計にも関わらず、明らかに自身の支持率を高めている。ともあれ独仏では、民主主義の伝統にも関わらず、強い政府が国民の信頼を失うことは一度もなかった。

日本は「緊急事態宣言」で有効な行動がとれるか

過去、阪神淡路大震災地下鉄サリン事件の際に当時の村山富市内閣は非常事態を発令したが、その時は混乱とは言わなくとも、停滞が生じた。福島第1原発の技術災害で菅直人内閣のとった行動にも多くの批判があげられた。

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これらの事件で当時の村山首相と菅首相は政治生命に終わりを告げるはめになり、また自民党には、野党としての短期の政治活動期間に終止符が打たれた。

しかし今度は、おそらく21世紀に自民党でもっとも成功したリーダーである安倍晋三首相にこの試練を負う順番が巡ってきた。

安倍首相が発表した「非常事態宣言」は、欧州各国で見られるいわゆる「ロックダウン」と呼ばれる都市閉鎖を前提としていない。 

国民には特別な場合以外は外出しないよう要請がされた。食料品以外の販売店や娯楽施設、レストランを含め、集客施設の多くが閉鎖となった。同時に通行規制は実施されず、非常事態体制違反での罰金も事実上ない。1週間後には大手のメーカーは操業を再開する。

これは、ウイルスの拡大を予防すると同時に、近づきつつある世界経済危機を背景に経済への過度のダメージを防ごうと、良く考え抜かれた、極めて慎重なアプローチといえる。

こうしてみると、世界の指導者の中で、感染の惨事と経済低迷のどちらをより危惧すべきか、ずばり決断を下した者は一人もいないようだ。

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