アプリの開発を担当するのは、日本の非営利団体「コード・フォー・ジャパン」。同アプリのシステムは、シンガポール政府が開発し導入した接触者追跡アプリをベースにしている。スマホに搭載された近距離無線通信「Bluetooth」を活用し、アプリ利用者が感染が判明した利用者と濃厚接触したことが判明すると、適切な行動を促すように通知される。また、いつどこで濃厚接触したのか、感染者の身元などの情報は通知されない。
また、利用者の感染情報を登録できるのは行政職員のみ。そのため、陽性が判明したユーザーのプライバシーも守られる。また同団体によると、陽性の判定を受けた感染者と無意識に濃厚接触していた場合にもそれがわかるため、自己隔離が必要な人の取りこぼしがなくなるとともに、感染拡大の防止に役立つ。
シンガポールは3月下旬に新型コロナ追跡アプリを導入。オーストラリアも26日、同様のアプリの利用を開始。イギリスとドイツもアプリの開発・導入を検討中。
一方で、この日本版アプリの利用はあくまでも任意。そのためアプリの利用者が増えなければ感染拡大防止効果は薄くなる。実際、シンガポールでもこのアプリの普及には至っていない。
個人情報保護に詳しい東京大学の宍戸常寿教授によると、個人情報が守られているかどうかを確認するためには、この追跡アプリの動作をチェックする第三者機関が必要だという。さらに同教授は、データを有効に活用する社会を作り上げるためには、利用者の信頼が必要不可欠。今回のケースはそのリトマス紙になると指摘した。
関連記事
日本政府 新型コロナ感染者追跡アプリを5月上旬に提供
© Sputnik / Savitskaya Kristina