ここ数週間、ラテンアメリカ諸国では新型コロナウイルスの感染、死亡者数は記録的水準に達している。デア・シュピーゲル誌の記者は、ラテンアメリカ諸国の中には欧米の感染ピーク時に匹敵する状況が出来上がっていると指摘している。
ブラジルで大量埋葬
ブラジルではすでに今、コロナウイルスによる遺体処理に棺を隙間なく埋めるという大量埋葬の手段に走らざるをえなくなっている。ブラジルではCOVID-19の検査はあまり行われていない。
デア・シュピーゲル誌はサンパウロに勤務のある医師のセリフを引用している。医師はブラジルの死者数は10万人台にせまる恐れがあり、「最悪な事態はまだこれから」と語っている。記事筆者は、こうした暗い予測は、ブラジルの検疫措置の緩さと、同国のジャイール・ボルソナロ大統領にウイルスへの危機意識が薄く、COVID-19を「軽いインフルエンザ」と一笑していることから生まれていると指摘している。
記者の指摘によれば、ブラジルでは検疫措置が発令されたのは数都市のみ。感染率の上昇にもかかわらず、ボルソナロ大統領は、検疫による経済への影響はCOVID-19そのものよりはるかに危険として、発令されている措置の緩和を強要している。
死亡率は上昇 規制は逆に緩和
感染者、死者数ではラテンアメリカでワースト3のメキシコも、導入された制限措置の緩和に乗り出した。こうした状況と裏腹に感染症の学者らはメキシコはまだ感染のピークには達していないと指摘している。
デア・シュピーゲル誌は、ラテンアメリカ諸国は欧米よりもパンデミックへの準備が不足しており、経済停滞を味わった時期に健康保健システムは縮小されてしまったと指摘している。
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