クリル諸島 日本の外交青書が「我が国の主権」 ロシア外務省が反応

ロシア外務省のマリア・ザハロワ公式報道官は、日本外務省が5月19日に発表した外交青書でクナシル島(国後島)、イトゥルプ島(択捉島)、シコタン島(色丹島)、ハボマイ群島(歯舞群島)をはじめとする南クリル諸島(日本の主張する「北方領土」)を「日本に帰属する」と決めたことについて、これは日本がロシアとの「交渉で見せていた気構えとは矛盾する」とする声明を表した。
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ザハロワ報道官は、「我々は日本外務省の同僚らを現実に引き戻さざるを得ない。現実とは次のようなものだ。クリル諸島の法的主権は、国連憲章をはじめとする国際法の文書に照らした場合、ロシアに帰属する。議論の余地はない」と明言した。

5月19日付けの共同通信の報道によれば、日本は今年の外交青書に「北方領土」の帰属について従来の表現に引き戻し、「北方領土は我が国が主権を有する島々」と記載した。

マスコミはこの表現が復活したことについて、日露関係の交渉が停滞していることが理由と報じている。

クリル諸島と露日関係

日本とロシアとの間の領土問題、第二次世界大戦の終結後からいまだ解決に導かれていないこの問題は、二カ国の間の障害となっている。

第2次大戦終結日の変更とその露日関係への影響 専門家たちの見解 
ロシアと日本の間にはすでに70年以上も平和条約が存在しておらず、日本は1855年に結ばれた日露通交条約に基づいて国後、択捉、色丹、そして歯舞群島を要求している。1956年、ソ連と日本は共同宣言に署名。その中でソ連は、日本との平和条約が締結した後に、日本へ歯舞と色丹を引き渡す可能性を検討することに同意している。国後・択捉の扱いについてはそこでは触れられていない。

しかしソ連は、1960年に日本が米国と日米安全保障条約を締結した後に、日ソ共同宣言での約束を拒否した。その後に行なわれた協議の数々はどんな結果ももたらさず、第二次大戦終結にからんだ平和条約が締結されることはなかった。

ロシアの立場は、島々は第二次世界大戦の結果としてソ連領になったのであり、ロシアがこれらの島々に対して主権を有していることは疑いがないというものだ。

2018年11月14日、シンガポールで露日首脳会談が行われた。会談の結果、露日両国は1956年の日ソ共同宣言にもとづき平和条約の交渉プロセスを加速させることに合意した。それまでの公式な立場として島々を引き渡し、その後に平和条約を締結することを主張してきた日本側からの重要な譲歩がなされた。

2019年9月の会談で、プーチン大統領と安倍首相は平和条約とクリル諸島問題について話し合っていた。会談後、ウシャコフ露大統領補佐官はこれまで取り決められたフォーマットはすべて今後も継続されることを明らかにしていた。

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