2016年夏、パリの都心や郊外では数日間にわたって暴動を伴う抗議活動が行われた。抗議活動のきっかけとなったのがアダマ・トラオレさん(当時24歳)の死だった。トラオレさんは警察署に連行される間に死亡し、遺族は警官らによる暴行で死亡したとして抗議した。
トラオレさんの司法解剖結果に抗議した遺族は再審を依頼し、ついにその結果が公表された。遺族やその支持者らは再審結果の内容を不服として抗議活動をフランス市裁判所の周辺で行った。フランスのBFMTVによれば、2日の抗議には1万5千人が参加した模様。
抗議活動の参加者らは「差別が人を殺す」、「息ができない」、「生きる権利」と記されたプラカードを掲げて抗議活動を行った。米国のミネソタ州で警官らに拘束された際に死亡したジョージ・フロイドさんの死を悼み、遺族への連帯を示す意図もあると見られている。
フランスでは新型コロナウイルスの感染拡大により集会が禁じられているため、抗議活動は無許可で実施された。抗議活動は途中から激しさを増し、警官らは散会を要求したものの、抗議活動の参加者らは応じる姿勢を見せなかったため、催涙スプレーを使用する場面が見られた。