このコンテストは、ロシアにおけるオンライン日本祭「Japan Online Fest 2020」のプログラムの目玉のひとつであり、今年から来年にかけて実施される「日露地域・姉妹都市交流年」の事業でもある。
応募対象となるのは、日本で撮られた写真または日本をモチーフにした写真で、ロシア国民であれば誰でも参加できる。作品はナショナルジオグラフィック・ロシアの専門家らによって選考され、最優秀賞受賞者には日本行きのペア航空券が、入賞者にはその他の商品が贈呈される。ただし、いつ日本への旅行が再開できるかわからないため、航空券の有効期限は特別に長く設定するとのことだ。
コンテストのノミネート作品は、ナショナルジオグラフィック・ロシアのこちらのページに順次アップされていくので、お気に入りの一枚を見つけるのも面白い。すでに多数の応募が集まっており、桜や富士山といった定番の風景から、路上の自転車やガラス張りのオフィスビル、新幹線を待つ人といった変わり種まで、ロシア人のユニークな視点を楽しむことができる。
6月に入ってロシア人は、夏のバカンスについて考え始めているが、今年は近場のレジャーがメインになりそうだ。コロナ禍や原油価格下落による経済の低迷により、大手ポータルサイト「ヤンデックス」の調査によれば、63パーセントが「この夏はどこへも行かない」と答えている。
もし7月に国際線が再開したとしても、近場で格安の行き先に人気が集まり、すぐには日本に目が向かない可能性がある。これまで作ってきた良い流れを、コロナで止めてしまいたくない、というのがインバウンド関係者の共通の願いだろう。
JNTOモスクワ事務所の本蔵愛里所長は「日本への興味の維持は重要なことです。いつか旅行ができる状態になった時の候補地として、日本を忘れないでほしい。自粛期間中にはオンラインコンテンツの需要も伸びるので、関心が高まることを期待しています。時期が来れば、例えばモスクワのメインストリートにおける展覧会など、優秀作品の披露の機会を設けたいと考えています」と話している。
フォトコンテストの開催は、昨年5月に行われた日露観光促進協議の中で合意されたもので、ロシア側も日本人を対象にしたフォトコンテストを今年8月にスタートする予定だ。いつかそれぞれの国を安心して旅行できる日を夢見て、まずはオンラインで行き先を「予習」するのも良いかもしれない。