ネットフリックス日本 アニメ配信部門を強化も制作会社には落とし穴

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い外出自粛が続く中、自宅で手軽に映画やドラマ、アニメが楽しめる動画配信サービスは「巣ごもり消費」に強い業界として注目を集めている。米動画配信大手ネットフリックスは日本での視聴者獲得のため、特にアニメ作品の配信強化に取り組んでいるが、日本のアニメ制作会社はその動きを警戒している。東洋経済が伝えている。
この記事をSputnikで読む

ネットフリックスがアニメ配信に力を入れているのは、アニメ作品には熱心なファンが付きやすく、会員獲得の武器になるとみているため。このため同社は地上波テレビで放送された大人気アニメ『鬼滅の刃』の配信権を購入。同作品はネットフリックスでも人気常連作品だという。

一方、同社はアニメの独自制作にも取り組んでおり、2月には日本の人気クリエイターとの提携を発表。動画配信サービスでアニメを独自制作する長所は、クリエイターがスポンサーやテレビの放送コードなどの規定から自由になる点にあるという。

ジブリ配信 デジタル不信の宮崎駿氏を動かした「制作費の捻出」
ところが、日本のアニメ業界はネットフリックスに対する警戒心が強い。同社に作品を提供するアニメ制作会社幹部は「作品がヒットすればネットフリックスの勝ち、ヒットしなければ私たち(制作会社)の勝ちだ」と語る。制作側がこのように語る理由は、ネットフリックスが作品の配信権を一定額で買い取ることにある。つまり、どれだけ作品が視聴されてもその買取り額は変わらない。

そのような不満を漏らしつつも制作会社は「ネットフリックスのクリエイティブへの理解力は凄まじい」と語る。ネットフリックス制作のあるアニメ作品では、海外アーティストを起用。同社の海外ネットワークが生かされた形となっている。

一方、日本の制作会社からは、「いつまでも日本の制作会社を使ってくれるわけではない」という声も聞かれる。質の高い作品の配信を求めるネットフリックスは、日本のみならず中国や韓国の制作会社にも注目しており、同社は1月、韓国のアニメ制作会社「スタジオ・ミール」と包括的業務提携を結んだ。アニメ制作会社の国際競争は、ネットフリックスを介して激しさを増す可能性がある。

関連記事

コメント