ボルトン氏が役職を離れたのは約1年前。今後ボルトン氏の援助を米国政府は必要としないとトランプ大統領が発表したことがその理由だった。通信社「スプートニク」は、日韓の戦略的利益と安全保障に関するボルトン氏の暴露発言は何に突き動かされた結果なのか、専門家に見解を尋ねた。
世界経済国際関係研究所、日本経済政治セクター代表のヴィターリー・シュヴィコ氏は、安全保障分野の元責任者であるジョン・ボルトン氏の現在の発言の背景には、トランプ大統領に対する個人的恨みがあるのではないかとみている。
「米大統領は、日韓の領土にある米軍基地を維持する財政的条件ではおそらく駆け引きを行っていますし、こうした調子での駆け引きはこれからも続くでしょう。とはいえ、ボルトン氏が警告するような抜本的な提起がトランプ大統領側から行われるとは、実際は誰も予想していません。
在日米軍基地への負担増要求で日本に圧力らしきものをかけていることついては、日本政府はそれを否定しています。そして日本政府にはその権利があります。この問題に関しては、幕裏の交渉では圧力がかけられたかもしれませんが、日本政府としては、米国務省のサイトでは公式な要求は発表されていないことに立脚しており、確たるものはなにもないのです」。
それでもボルトン氏は、負担増の要求計画はもっと深刻に受け止められるべき話だと主張している。
しかもボルトン氏は、トランプならは日本からも韓国からも米軍撤収の大統領令を出しかねないと考えている。韓国との負担増をめぐる交渉は現在、難航している。
この点について、ロシア科学アカデミー極東研究所コリア研究センターのコンスタン・アスモロフ主任研究員は次のように指摘している。
ロシア金融大学政治学部のゲオルグ・ミルゾヤン助教授は、日本と韓国から米軍が撤収する事態は論外だと考えている。
「これらの国々に米軍が存在することは、中国政府に対するもっとも重要な抑止力です。トランプ大統領は、これらの国々で米軍を維持するための支出を減らし、日本と韓国の領土内で米軍基地を堅持する最適な条件を両国政府から勝ち取ろうとしていますが、それはまた別の話で、ボルトン氏はこのことを良く知っていながら、トランプ大統領を陥れようとしているのです」。
日本が米国のミサイル防衛システムの配備を中止したことについて、ミルゾヤン助教授は、日本政府は基本的な財政的ロジックに即して賢明な措置を行ったと指摘した。
「日本沿岸の自衛隊艦船にはすでに米国のイージスシステムが装備され、十分な防衛体制がとられていたことから、地上配備型の米国製ミサイルシステムは当初から不要だったのです」。