研究者らは、グリーンランドの氷床の拡大と融解のバランスを調べるために、衛星画像を用いた氷河のリモートセンシング調査を行った。この衛星からのデータは、グリーンランド周辺の200以上の大きな氷河を網羅するもので、これらの氷河の融解による雪解け水も観測できる。この調査により、氷河を補充する年間の降雪量が、氷河の融解による損失をすでに補えなくなっていたことがわかった。
1980〜90年代には降雪量と氷河の融解量のバランスは取れており、氷床の規模を完全に維持していた。氷床はこの間、年間約4500億トンの氷河を失ったが、最近までこの氷河は降雪によって補われていた。
2000年代に入ると5〜6年という短い期間の間で、グリーンランドの氷河の融解量が急激に増加した。同地では年間約50万トンの氷河が融解したものの、氷河の拡大は起こらなかった。これは、グリーンランドの氷床の質量が増加するのは100年間のうち1年だけであることを意味している。
氷河は縮小を続け、氷河のより多くの部分が海底と接触しなくなり、海水と接するようになった。水温の高い海水が氷河の急速な融解を押し進めているため、気候変動が止まっても、グリーンランドの氷床の面積は減少し続けることになる。
2019年はグリーンランドの氷床の融解量が多く、海面はわずか2ヶ月間で2.2ミリ上昇した。
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