ムーディーズの専門家らは、今後20年間で起こりうる自然の脅威に備えるという観点から、米国内の原子力発電所57基を対象に評価した。それによると、ほとんどの原発が温暖化に伴う異常な暑さに対応できていないことが判明した。
ムーディーズのプロジェクトおよびインフラストラクチャーに関するアナリストで、報告書の著者の1人であるデビッド・カムラン氏は、「原発は厳しい気候に対する十分な耐久性を持っているが、気候変動は非常に早いペースで進んでいる」と指摘している。
暑さや干ばつにより、原子力発電所は原子炉冷却の問題に直面する可能性がある他、洪水による被害を受けるリスクもある。
報告書で著者らは、既存の原発の耐久性を強化し、起こりうる自然の脅威に対応する必要があると述べている。
2011年に日本を襲った地震と津波により発生した「福島第一原発」事故を受けて、世界で最も「高齢」な原発の国である米国の原子力規制委員会は、気候変動などの自然災害に伴う原発のリスク調査を開始した。
同委員会が原発約60基の設計を見直したところ、そのうちの54基が危険な自然現象に対応できていないことが明らかになっている。
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